大きな地震が起きた。社員の安全は確認できた。でも次に営業担当から、「取引先には何て連絡しますか?」と聞かれる。
「現在確認中です」だけでいいのか。納品できるか分からないのに連絡していいのか。災害時は自社も混乱しているからこそ、取引先への連絡が後回しになりがちです。
取引先へまず伝えたいのは、この5つ。
① 自社の被害状況
② 商品・サービスへの影響
③ 納品や復旧の見通し
④ 緊急時につながる連絡先
⑤ 次にいつ連絡するか
全部分かってから連絡しなくていい
災害直後は、被害の全容も復旧時期も分からないことがあります。だからといって、状況が確定するまで取引先へ何も伝えないと、相手も「発注した商品は届く?」「明日のサービスは使える?」と判断できません。
中小企業庁のBCP指針では、初動対応後はできるだけ速やかに顧客や協力会社と連絡を取り、被災状況などを相互に共有することが示されています。
分からないことは「分からない」と伝えてOK。
大切なのは、確定している情報と未確認の情報を分け、次にいつ状況を更新するのかを伝えることです。
取引先が知りたいのは「仕事への影響」
「震度6弱の地震が発生しました」だけでは、取引先は自社への影響を判断できません。相手が知りたいのは、その災害によって取引がどうなるのかです。
| 伝えること | 例 |
|---|---|
| 被害状況 | 社員の安全、事業所・設備の被害 |
| 業務への影響 | 受注、製造、出荷、サービス提供の可否 |
| 納品・復旧見込み | 予定どおり、遅延見込み、現在確認中など |
| 連絡先 | 災害時にも確認できる担当窓口 |
| 次回連絡 | 本日15時、明日午前など |
特に重要なのが「次回いつ連絡するか」です。復旧時期が分からなくても、「15時までに改めて状況をお知らせします」と伝えれば、取引先も次の判断をしやすくなります。
災害時の取引先連絡テンプレート
長い文章を一から考える必要はありません。平時に基本形を作っておけば、災害時は状況に合わせて書き換えられます。
第一報の例
本日発生した地震について、現在、当社では従業員および事業所の被害状況を確認しております。
現時点では、○○業務への影響について確認中です。
状況が分かり次第、改めてご連絡いたします。次回の情報更新は本日15時頃を予定しております。
緊急のご連絡は○○までお願いいたします。
ポイントは、無理に「大丈夫です」と言い切らないこと。確認できた事実だけを伝え、未確認事項と次回連絡時刻を明確にする方が実務的です。
誰に連絡するか、優先順位を決める
災害が起きてから取引先一覧を見て、「どこから電話する?」と考えていては時間がかかります。すべての取引先へ同時に連絡できない場合に備え、優先順位を決めておきましょう。
- □ 重要な納品・サービスがある取引先
- □ 当日・翌日に納品予定がある取引先
- □ 自社の停止による影響が大きい取引先
- □ 代替対応などの調整が必要な取引先
- □ 重要な仕入先・協力会社
BCPでは、限られた人員や設備の中で何の事業を優先するかを事前に決めることが重要です。取引先への連絡順位も、その中核事業とセットで考えると整理しやすくなります。
BCPの基本については、 BCPとは?事業継続計画の意味と策定手順を企業防災の視点で解説 も参考にしてください。
担当営業だけが連絡先を持つ状態にしない
「あの会社の担当者は営業の○○さんしか知らない」。普段は問題なくても、その営業担当自身が被災したら連絡できなくなります。
重要な取引先については、会社として連絡先を管理し、担当者不在でも確認できる状態にしておきましょう。また、電話がつながらないことも想定し、メールやチャットなど複数の連絡手段を検討します。
最低限決めておきたいこと
誰が連絡する?
誰に連絡する?
何を伝える?
電話がつながらなければどうする?
担当者不在なら誰が代わる?
こうしたルールは、 企業の防災マニュアル、何を書く?最低限入れたい10項目 にも入れておきましょう。
取引先からの問い合わせ窓口も一本化する
災害時に営業、総務、店舗などへ同じ問い合わせが入ると、情報が食い違うことがあります。「営業からは納品可能と言われたのに、本社からは未定と言われた」という状態は避けたいところです。
緊急時は情報を集約する担当者や窓口を決め、社外へ出す情報をできるだけ統一する仕組みにしておきます。
そして一度連絡したら終わりではありません。状況が変わったときは、納品予定や復旧見込みなどを更新して伝えます。
防災訓練で「取引先へ連絡する」ところまでやってみる
避難や安否確認だけで防災訓練を終えている会社も多いですが、BCPの実務としては、その後の取引先対応も重要です。
- □ 重要取引先の連絡先をすぐ出せる?
- □ 誰が第一報を出すか決まっている?
- □ 納品への影響を確認できる?
- □ 担当営業が不在でも連絡できる?
- □ 次回の情報更新時刻まで伝えられる?
防災訓練については、 企業の防災訓練、何をする?小規模会社でもできる5つの訓練 でも紹介しています。
まとめ|「状況確認中」で終わらせない
災害時の取引先連絡で大切なのは、完璧な回答をすぐ出すことではありません。確認できている事実を伝え、業務への影響を整理し、次にいつ連絡するのかを示すことです。
取引先へ伝える順番
何が起きた?
↓
自社はどうなっている?
↓
取引にどんな影響がある?
↓
今後どうなる?
↓
次はいつ連絡する?
「連絡先を持っている」だけでなく、「誰が、何を、いつ伝えるか」まで決める。 まずは重要取引先を3社だけ挙げて、災害時に誰が第一報を出すのか確認してみてください。
Bousailyでは、企業・施設・団体などの防災備蓄や、防災用品の選定についてご相談いただけます。
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