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災害時に配慮が必要な社員へ、会社はどう備える?高齢者・障害者・持病がある人への対応

災害時に避難や情報伝達などの配慮が必要な社員への対応を確認するオフィス担当者のイメージ

大きな地震でエレベーターが止まった。避難指示が出たけれど、階段での移動が難しい社員がいる。毎日薬を飲んでいる社員もいる。そんなとき、「とりあえず全員同じ避難ルートで」で大丈夫でしょうか。

企業防災では、社員全員へ同じ備えを用意するだけでは対応しきれないことがあります。年齢、障害、持病などによって災害時に困ることが違うからです。

会社で確認したいのは、この5つ。

① 避難するときに支援が必要?
② 災害情報を受け取りやすい方法は?
③ 薬・医療機器などで困ることは?
④ 待機中に必要な備蓄や環境は?
⑤ 誰がどう支援する?

「誰が要配慮者?」より「何に困る?」から考える

防災の分野では、高齢者、障害者など災害時に特に配慮を必要とする人を「要配慮者」と呼びます。ただし会社では、年齢や障害の有無だけを見て一律に判断するのではなく、実際に災害が起きたとき何に支援が必要かを確認することが大切です。

たとえば同じ障害があっても必要な支援は人によって違います。反対に、外見からは分からなくても持病や一時的なけがなどによって避難や待機に配慮が必要な場合もあります。

「属性」ではなく「困ること」を確認する。

本人と話しながら、自社の建物・避難方法・勤務環境に合わせて必要な対応を考えましょう。

まず確認したいのは「避難できる?」

災害時にはエレベーターが停止し、階段での避難が必要になることがあります。長い距離を歩くことが難しい、階段移動に支援が必要、避難経路を一人で確認することが難しいなど、社員によって課題は異なります。

そこで、非常口の場所を知らせるだけでなく、どの経路なら避難できるか、誰が支援するかまで決めておきます。

  • □ 階段で避難できる?
  • □ 移動するときに支援が必要?
  • □ 車いすなどでも通れる経路はある?
  • □ 支援する担当者は決まっている?
  • □ 担当者が不在でも対応できる?

避難器具などを導入する場合も、置くだけでなく、実際に使用できるよう訓練や使用方法の確認まで行っておきましょう。

情報の伝え方も「一つだけ」にしない

「館内放送で避難を案内したから全員に伝わった」とは限りません。音声が聞き取りにくい社員、文字や図の方が理解しやすい社員など、情報を受け取りやすい方法も人によって違います。

災害情報は複数の方法で。

館内放送
+
チャット・メール
+
文字や掲示
+
必要に応じて直接声をかける

一つの方法だけに頼らず、重要な情報を複数の手段で伝えられるようにしておくと安心です。社員への連絡方法については、 災害時、社員と連絡がつかない。オフィスの安否確認ルールを作ろう も参考にしてください。

持病がある社員は「薬が必要になったら?」も考える

持病がある社員の中には、継続して薬を服用していたり、医療機器を使用していたりする人もいます。災害で交通機関が止まり、会社に長時間待機することになれば、普段とは違う状況になる可能性があります。

会社が社員ごとの薬を一律に用意するのではなく、本人と相談しながら、必要な薬や医療情報をどう備えるか、会社でどんな支援が必要かを確認しておくことが現実的です。

たとえば確認しておきたいこと。

普段必要な薬を本人が携帯・備蓄しているか
薬の情報を確認できる方法があるか
医療機器の電源や充電が必要か
災害時に会社側の支援が必要か

厚生労働省でも、災害時に備えて薬や薬剤情報、お薬手帳などを確認できるようにしておくことが紹介されています。ただし、薬の種類や保管方法、必要量は人によって異なるため、具体的な備えは本人が医師・薬剤師などと確認することが前提です。

停電・断水すると困ることはない?

災害時の困りごとは、避難だけではありません。停電すれば医療機器や充電機器が使えないことがあり、断水すればトイレや衛生環境にも影響します。

社員を事業所内に待機させる可能性があるなら、「この人に必要な支援はライフライン停止後も続けられる?」という視点も必要です。

停電時の会社対応については、 会社が停電した。まず何をする?オフィスで決めておきたい停電対策 を、断水への備えは オフィスが断水したら?会社でまずやることと必要な備え も確認してください。

健康情報は「みんなで共有」しない

支援するためには、障害や持病などについて会社側が一定の情報を把握する必要がある場合があります。一方で、病歴や健康に関する情報には、個人情報として特に慎重な取扱いが必要なものが含まれます。

そのため、社員全員が見られる一覧表に病名を書くような管理は避け、防災対応に必要な情報を、必要な担当者だけが扱える仕組みにしておきましょう。

集めることが目的ではありません。

「災害時の支援に何が必要か」という目的を明確にし、本人の意向を確認しながら必要な範囲で扱います。

障害がある社員は、本人と一緒に方法を考える

雇用の分野では、障害者雇用促進法により、事業主には障害の特性に応じた合理的配慮の提供が求められています。必要な対応は一律ではなく、本人の意向を尊重しながら考えることが基本です。

防災についても同じで、「会社側が良かれと思って決める」だけではなく、本人に「災害時に何があると困る?」と確認するところから始める方が実効性のある対応につながります。

防災マニュアルに「個別対応」を入れておく

担当者の頭の中だけに支援方法があると、その人が休みの日に災害が起きたとき対応できません。必要な範囲で、避難支援や連絡方法などを防災マニュアルへ組み込みます。

最低限決めておきたいこと

誰が声をかける?
誰が避難を支援する?
どこへ避難する?
必要な用品はどこにある?
支援担当者が不在なら誰が代わる?

会社の防災ルール全体を整理するなら、 企業の防災マニュアル、何を書く?最低限入れたい10項目 にも組み込んでおきましょう。

訓練で「本当にできる?」を確認する

マニュアルに「必要に応じて避難を支援する」と書くだけでは、実際に動けるか分かりません。本人の意向を確認したうえで、避難経路や連絡方法、支援する担当者が機能するかを訓練で確認します。

  • □ 支援担当者はすぐ動けた?
  • □ 避難経路に通れない場所はない?
  • □ 災害情報は伝わった?
  • □ 必要な用品をすぐ取り出せた?
  • □ 担当者不在でも対応できる?

防災訓練については、 企業の防災訓練、何をする?小規模会社でもできる5つの訓練 も参考にしてください。

まとめ|「みんな同じ備え」で終わらせない

災害時に必要な支援は、人によって違います。だから会社が最初にやることは、大量の特別な防災用品を買うことではありません。

会社で考える順番

災害時に何に困る?
↓
本人に確認する
↓
必要な支援を決める
↓
担当者・備蓄・避難方法を整える
↓
訓練で確認する

「誰が要配慮者?」ではなく、「誰が、何に困る?」から考える。 まずは自社の防災マニュアルを見て、配慮が必要な社員への対応が決まっているか確認してみてください。

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