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災害時、社員と連絡がつかない。オフィスの安否確認ルールを作ろう

災害発生後に社員の安否確認状況をオフィスで確認する担当者のイメージ

大きな地震が起きた。

社員に電話する。

つながらない。

次の人にも電話する。

やっぱり、 つながらない。

「誰が無事で、誰と連絡が取れていない?」

災害時の安否確認で困るのは、 連絡手段そのものより、 会社のルールが決まっていないことです。

安否確認は「連絡先リストを作る」だけでは足りません。

いつ始める?
何で連絡する?
何を返信する?
誰が集計する?
返事がない人はどうする?

ここまで決めておくのが、 災害時の安否確認ルールです。

災害時の安否確認、何を決めればいい?

中小企業庁のBCP指針では、 緊急時の初動対応として、 従業員やその家族の安否を確認することが示されています。

ただ、

「災害が起きたら安否確認する」

だけでは、 実際には動けません。

最低限、 次の5つを決めておきます。

  • □ どの災害で安否確認を始めるか
  • □ 最初に使う連絡手段
  • □ 社員が返信する内容
  • □ 誰が回答を集計するか
  • □ 返信がない社員をどう確認するか

ポイントは、 「送信する」ではなく「社員の状況を確認し終える」まで設計すること。

まず決めたいのは「いつ安否確認を始めるか」

意外と抜けやすいのが、 安否確認を開始する基準です。

地震が起きるたびに全社員へ送るのか。

それとも、 一定以上の揺れや被害があったときだけなのか。

ここが曖昧だと、 担当者によって判断が変わります。

たとえば、こんな基準。

本社・事業所のある地域で大きな地震が発生した。

自治体から避難情報が出た。

交通・電気・通信などに大きな障害が発生した。

会社の所在地や事業内容に合わせて、 「この条件なら安否確認を開始する」 というルールを決めておきます。

BCPについては、 BCPとは?事業継続計画の意味と策定手順を企業防災の視点で解説 でも詳しく紹介しています。

「電話一本」にしない。連絡手段は複数用意する

災害時は、 電話がつながりにくくなることがあります。

だから、

「上司が全員に電話する」

だけに頼るのは避けたいところです。

メール。 SMS。 ビジネスチャット。 安否確認サービス。 電話。

複数の手段を用意しておきます。

大事なのは「第1手段」と「第2手段」を決めること。

例:
安否確認サービス・メール・チャット
↓
届かなければSMS・電話などで確認

ツールをたくさん導入する必要はありません。

「まずどこを見るか」を全社員が知っていること の方が大切です。

メールを見る人。

チャットを見る人。

電話を待つ人。

バラバラでは、 安否確認に時間がかかります。

社員が多いなら法人向け「安否確認サービス」も選択肢

社員数が増えてくると、 メールや電話だけで全員を確認するのは大変です。

そこで選択肢になるのが、 法人向けの安否確認サービスです。

一般的には、 災害発生時に社員へ一斉に連絡し、 社員がスマホなどから回答。

その回答をシステム上で集計し、 管理者が状況を確認できる仕組みです。

安否確認サービスでは、こんなことができます。

  • 地震などをきっかけに安否確認を自動配信する
  • 社員へ一斉に連絡する
  • 社員がスマホなどから安否を回答する
  • 「無事・負傷・出社可否」などを集計する
  • 未回答者を一覧で確認する
  • 未回答者へ再通知する

サービスによって機能は異なりますが、 大きなメリットは、

「誰が回答済みで、誰がまだ未確認なのか」をすぐ把握できること。

たとえば100人へメールを送り、 返信を1件ずつ確認して表へ入力する。

平常時ならできても、 災害対応をしながらではかなり大変です。

自動集計できれば、 担当者は未回答者への確認や、 次の対応へ移りやすくなります。

災害を検知して自動配信できるタイプもある

安否確認サービスの中には、

「事業所の地域で震度5弱以上」

など、 あらかじめ設定した条件に応じて 自動的に連絡を送れる仕組みもあります。

これは、 災害時に安否確認担当者自身が被災しているケースでも役立ちます。

担当者がニュースを確認して、 文面を作り、 送信ボタンを押さなければ始まらない。

そんな仕組みだけにしない、 という考え方です。

選ぶなら「送信」より「その後」を見る

安否確認サービスを選ぶときは、 一斉送信できるかだけでなく、 回答後の運用も確認します。

  • □ スマホから簡単に回答できるか
  • □ 回答を自動で集計できるか
  • □ 未回答者を一覧で確認できるか
  • □ 再通知できるか
  • □ 複数の管理者を設定できるか
  • □ 訓練時にも使えるか

高機能でも、 社員が使い方を知らなければ本番では動きません。

導入したら、定期的にテストする。

ここまでセットで考えます。

社員からの返信は「3〜4項目」に絞る

安否確認を送っても、 返信内容が自由だと集計が大変です。

だから、 社員が回答する内容も決めておきます。

返信項目の例

① 本人:無事/負傷

② 家族:無事/未確認/支援が必要

③ 現在地:自宅/会社/外出先/避難所

④ 出社:可能/困難/未定

長文はいりません。

会社が次の判断に必要な情報だけ を集めます。

社員本人が無事でも、 家族の安否が分からなかったり、 自宅が被災していたりすれば、 すぐ出社できるとは限りません。

安否確認と、 出社可否の確認は分けて考えます。

「返信がない人」を誰が追うか決めておく

安否確認を送っても、 全員がすぐ回答するとは限りません。

スマホの充電切れ。

通信障害。

避難中。

負傷している。

さまざまなケースがあります。

そこで必要なのが、 未回答者への対応ルールです。

たとえば、この流れ。

一斉連絡
↓
回答を集計
↓
未回答者を抽出
↓
別の連絡手段で再確認
↓
確認できない人を「未確認」として管理

そして、 確認担当者を1人だけにしないこと。

その担当者自身が被災しているかもしれません。

主担当と副担当。

どちらでも動けるようにしておきます。

勤務中・休日・外出中でルールを分ける

災害は、 全員がオフィスにいるときに起きるとは限りません。

自宅。

通勤中。

営業先。

出張先。

それぞれで、 取るべき行動は変わります。

「災害が起きたら、とりあえず会社へ向かう」は避ける。

交通機関が止まっている状況では、 無理な移動が危険になることがあります。

まず、 自分と家族の安全を確保する。

そのあと会社へ安否を報告する。

出社するかどうかは、その次です。

帰宅困難者への対応は、 災害時の帰宅困難者対策|企業が準備すべきこと でもまとめています。

171は「会社の安否確認」とは役割が違う

法人向け安否確認サービスは、 会社が社員の状況を把握・集計するための仕組みです。

一方、 社員自身が家族の安否を確認する方法も必要です。

会社から見れば、 社員本人は無事。

でも本人は、 家族と連絡が取れていない。

これでは、 落ち着いて次の行動を考えるのも難しくなります。

そこで知っておきたいのが、 災害用伝言ダイヤル「171」やweb171です。

171は、 災害時に電話が集中してつながりにくくなった場合などに、 伝言を録音・再生して安否を確認するためのサービスです。

web171では、 インターネットを使って伝言を登録・確認できます。

役割を分けて考えます。

法人向け安否確認サービス
→ 会社が社員の状況を把握・集計する

171・web171
→ 社員本人が家族などと安否を確認する

会社の安否確認ルールだけでなく、 社員自身が家族との連絡方法を決めておく ことも大切です。

171やweb171には体験利用できる期間もあります。

防災訓練とあわせて、 一度使ってみるのもいいでしょう。

連絡先リストは「作って終わり」にしない

緊急連絡先を作った。

これで安心。

……ではありません。

退職。

異動。

電話番号の変更。

連絡先リストは、 意外とすぐ古くなります。

だから、 定期的に更新する日を決めておく のがおすすめです。

また、 社員の個人電話番号などを管理する場合は、 社内の個人情報管理ルールに沿って取り扱います。

安否確認は「テストする」までが準備

ルールを作った。

サービスも入れた。

でも、 本番で社員が回答できなければ意味がありません。

そこで、 定期的に安否確認訓練をします。

  • □ 全社員へテスト連絡を送る
  • □ 回答がどれくらい集まるか確認する
  • □ 未回答者への再連絡を試す
  • □ 主担当が不在でも集計できるか試す
  • □ 連絡先が古くなっていないか確認する

実際にやると、

「通知に気づかなかった」

「どこから回答するか分からなかった」

「管理画面を操作できる人が1人しかいなかった」

といった問題が見つかります。

本番前に失敗できるのが、防災訓練です。

小さな会社なら、まずこの5つから

専用サービスをすぐ導入しなくても、 最初から完璧にする必要はありません。

まずは、

① 発動基準を決める

② 最初に使う連絡手段を決める

③ 返信項目を決める

④ 集計担当+副担当を決める

⑤ 一度テストする

この5つから始めればOKです。

社員が増え、 メールや電話での集計が負担になってきたら、 法人向け安否確認サービスも検討します。

大切なのは、 会社の規模に合った方法で「全員の状況を把握できる仕組み」を作ること。

オフィス全体の備えは、 オフィスの防災備蓄チェックリスト|総務担当者がまず確認すべき項目 もあわせて確認してください。

まとめ|安否確認は「連絡する」だけでは終わらない

災害時、 電話がつながらない。

担当者も会社にいない。

それでも、 社員の状況を確認する必要があります。

災害が起きる前に決めておく。

いつ始める?
何で連絡する?
何を返信する?
誰が集計する?
返事がない人はどうする?

社員数が多ければ、 安否確認サービスを使って自動配信・集計する方法もあります。

一方で、 家族との連絡には171やweb171も使えます。

ツールを入れることがゴールではありません。

社員の状況を確認し、 次の判断につなげられる仕組みを作る。

それが、 企業の安否確認です。

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