X Instagram
閉じる

災害時、備蓄品はどう配る?会社で決めたい配布ルールと担当者

災害時にオフィスで飲料水や非常食などの備蓄品を社員へ配布する担当者のイメージ

水は300本。非常食も十分。非常用トイレもある。 「備蓄はできているから大丈夫」と思っていませんか?

でも実際に災害が起きたとき、誰が倉庫を開けるのか、何人分をどのタイミングで配るのか、来客にも渡すのか。ここが決まっていないと、せっかくの備蓄がうまく使えません。

備蓄は「ある」だけではなく「配れる」状態にする。

① 配布を判断する人
② 備蓄を出す人
③ 1回に配る量
④ 誰を対象にするか
⑤ 残数を誰が管理するか

この5つを平常時に決めておきましょう。

備蓄品は「自由に取ってください」にしない

災害時に備蓄倉庫を開放して「必要な人が自由に取る」方式にすると、一部の備蓄が早くなくなったり、全体の残数が分からなくなったりする可能性があります。

特に大規模災害では、物流や交通がすぐに戻るとは限りません。事業所で一定期間待機する可能性を考え、備蓄全体を見ながら計画的に配る方が管理しやすくなります。

基本は「配布担当者を通して渡す」。

備蓄倉庫へのアクセスを管理し、誰に何をどれだけ渡したか分かる仕組みにしておくと、残数を把握しやすくなります。

まず決めたいのは「誰が配るか」

備蓄品の場所を知っているのが総務担当者一人だけ。これは避けたい状態です。その人が外出中だったり、けがをしていたりする可能性もあります。

そこで、配布担当と代理者をあらかじめ決めておきます。

  • □ 配布開始を判断する責任者
  • □ 備蓄倉庫を開ける担当者
  • □ 水・食料を配る担当者
  • □ 非常用トイレ・衛生用品の担当者
  • □ 配布数・残数を記録する担当者
  • □ 不在時の代理担当者

小規模な会社なら、一人が複数の役割を担当しても構いません。大切なのは、「その場にいる誰かが何となくやる」状態にしないことです。

一度に全部配らず「時間・人数」で区切る

災害直後に3日分の水と非常食を一人ずつまとめて渡す方法もありますが、会社の人数や保管状況によっては、必要なタイミングごとに配る方が管理しやすいケースもあります。

備蓄品 配布ルールの例
飲料水 一定量ずつ配布し、追加時に残数を確認する
非常食 朝・昼・夜など食事のタイミングで配布
非常用トイレ トイレ付近へ必要数を補充し、使用方法も掲示
衛生用品 共用分と個別配布分を分ける
毛布 待機場所が決まってから人数分を配布

これはあくまで運用例です。会社の人数、備蓄量、待機期間、保管場所に合わせて決めましょう。

重要なのは、「何日分あるか」だけでなく「あと何人に何回配れるか」が分かる状態にすることです。

水・食料・トイレは、同じ配り方にしない

備蓄品によって使い方が違うため、すべて同じルールで配る必要はありません。

飲料水

東京都などの帰宅困難者対策では、事業所の飲料水について1人1日3L、3日で9Lが備蓄量の目安として示されています。ただし、3日分すべてを最初に渡す必要があるという意味ではありません。

人数と残量を確認しながら、会社で決めた単位で配布します。必要量そのものを確認したい場合は、 企業の防災備蓄は何日分必要?従業員数別の計算方法 も参考にしてください。

非常食

非常食は食事の時間に合わせて配ると管理しやすくなります。アレルギー対応食や、宗教・健康上の理由で食べられないものがある場合も考え、誰に何を渡せるかを平常時に確認しておくと安心です。

非常用トイレ

非常用トイレは社員一人ずつに3日分を渡すより、トイレ設備の近くへ必要数を置き、減ったら補充する方法も考えられます。

使い方を知らない人もいるため、袋や凝固剤を置くだけではなく、使用手順と使用済み袋の保管場所まで決めておきます。

必要数量については、 オフィスの非常用トイレは何個必要?人数別の備蓄量と選び方 で詳しく紹介しています。

社員だけ?来客・取引先の分はどうする?

災害が起きるのは、社員だけがオフィスにいる時間とは限りません。取引先、来店客、外部スタッフなどが社内にいる可能性もあります。

そこで、備蓄を誰まで配布対象にするのかを事前に考えておきます。

確認したい対象。

従業員
派遣・業務委託スタッフ
来客・取引先
店舗のお客様
その他、施設内にいる人

来客が多い店舗や施設では、社員数だけを基準に備蓄すると不足する可能性があります。普段の来訪者数や施設の役割も踏まえて、余裕を持った数量を検討しましょう。

帰宅困難者への対応については、 災害時の帰宅困難者対策|企業が準備すべきこと でも詳しく解説しています。

配ったら「残り何個?」を記録する

災害時に怖いのは、「まだあると思っていたのになかった」という状態です。そこで、配布と同時に残数を記録します。

配布記録はシンプルでOK。

日時
品目
配布数
残数
対象人数
担当者

たとえば「10月10日18時、水40本配布、残り160本」のように記録します。紙でもホワイトボードでも構いません。停電や通信障害を考えると、クラウド上の管理表しか使えない状態は避ける方が運用しやすくなります。

平常時の在庫管理と災害時の配布記録をつなげておけば、「現在何個あるか」も把握しやすくなります。

非常時だけ決めても動けない。訓練で一度配ってみる

配布ルールを作ったら、防災訓練で一度試してみるのがおすすめです。

  • □ 備蓄倉庫をすぐ開けられるか
  • □ 担当者が保管場所を知っているか
  • □ 必要な数量をすぐ出せるか
  • □ 社員が並んでも混乱しないか
  • □ 配布記録を残せるか
  • □ 非常用トイレの使い方を説明できるか

実際にやってみると、「箱が重くて運べない」「備蓄が倉庫の奥にある」「配布場所が狭い」といった問題が見つかります。

備蓄品の置き場所まで含めて、配布しやすい状態にする。ここまでが運用です。

備蓄の配布ルールは防災マニュアルに入れておく

担当者の頭の中だけに配布ルールがあると、担当者が不在のときに動けません。そこで、会社の防災マニュアルやBCPに組み込みます。

マニュアルに書いておきたいこと。

配布開始の判断者
配布担当・代理者
備蓄品の保管場所
1回の配布量
配布対象者
残数の記録方法
不足した場合の対応

中小企業庁のBCP指針でも、災害時には限られた人員や資機材の中で事業を継続する必要があり、必要な資源の確保や代替策を事前に考えることが重要とされています。:chatgpt-content-reference{index=”1″}

防災マニュアル全体を作るなら、 企業防災マニュアルの作り方|最低限入れたい10項目 もあわせて整理すると運用しやすくなります。

まとめ|備蓄は「買う」だけでなく「配る」ところまで決める

水や非常食を十分に備蓄していても、災害時の配り方が決まっていなければ現場で混乱する可能性があります。

会社で決めておきたい5つ。

① 誰が配布を判断する?
② 誰が備蓄品を出す?
③ 1回にどれだけ配る?
④ 誰まで配布対象にする?
⑤ 残数を誰が記録する?

備蓄管理のゴールは、倉庫をいっぱいにすることではありません。災害が起きたとき、必要な人へ必要な物を届けられる状態にすること。

まずは社内で、「今地震が起きたら、水は誰が配る?」と聞いてみてください。答えが決まっていなければ、そこから配布ルール作りを始めましょう。

法人・団体の方へ
防災備蓄・防災用品の選定にお困りではありませんか?

Bousailyでは、企業・施設・団体などの防災備蓄や、防災用品の選定についてご相談いただけます。

「何を備えればいいか分からない」「必要な数量を整理したい」「備蓄品をまとめて検討したい」といった段階からでもお気軽にご相談ください。

法人向け防災について相談する

参考情報