倉庫を開けたら、非常食の賞味期限が半年前に切れていた。 会社の防災備蓄では、意外と起こりやすい失敗です。
非常食や保存水は、「買ったら終わり」ではありません。 賞味期限、数量、保管場所を管理し、期限が来る前に入れ替えるところまでが備蓄です。
先に結論。
会社の防災備蓄は、賞味期限当日ではなく「期限より前に入れ替える社内ルール」を決めておくのがおすすめです。
① 備蓄品を一覧化する
② 賞味期限を記録する
③ 半年〜1年に1回は点検する
④ 期限が近い物から入れ替える
⑤ 訓練や社内配布などで無駄を減らす
防災備蓄の賞味期限は「切れる前」に管理する
一番避けたいのは、賞味期限が切れてから気づくことです。 災害時に倉庫を開けて初めて期限切れが分かっても、その場ですぐ補充はできません。
そこで会社では、食品に記載された賞味期限とは別に、社内の「入れ替え期限」を決めておくと管理しやすくなります。
| タイミング | 会社でやること |
|---|---|
| 賞味期限の1年前 | 期限が近づく備蓄品を確認 |
| 6か月前 | 次回購入・入れ替え数量を決める |
| 3か月前 | 訓練・社内配布などで活用し、新しい備蓄へ交換 |
| 入れ替え後 | 数量・新しい賞味期限を管理表へ反映 |
この「1年前・6か月前・3か月前」は法律上の基準ではなく、社内管理ルールの一例です。 備蓄量や購入サイクルに合わせて、自社で運用しやすいタイミングを決めましょう。
賞味期限だけじゃない。管理表に入れたい項目
備蓄管理でありがちなのが、Excelに「非常食 300食」とだけ書いてある状態です。 これでは、いつまで使えるのか、どこにあるのか分かりません。
- □ 品目
- □ 商品名
- □ 数量
- □ 購入日
- □ 賞味期限・使用期限
- □ 保管場所
- □ 必要数量
- □ 現在数量
- □ 入れ替え予定日
- □ 管理担当者
特に重要なのが、「必要数量」と「現在数量」を分けることです。 200食必要なのに180食しかなければ、賞味期限以前に20食不足しています。
まず必要量が合っているか確認したい場合は、 企業の防災備蓄は何日分必要?従業員数別の計算方法 も参考にしてください。
非常食と保存水は「古いものから使う」
備蓄品を一度に買って、一度に期限切れになると、入れ替え費用も廃棄量も大きくなります。 そこで取り入れたいのが、古いものから使い、その分を補充する考え方です。
東京都も日常備蓄について、古い物から使い、なくなる前に買い足すローリングストックを紹介しています。また施設向けの東京都資料でも、期限内に使用しながら備蓄を入れ替えることで、予算を計画的に配分できるとしています。
会社ならこんな使い方ができます。
防災訓練で非常食を試食する
社内の防災イベントで配布する
期限が近い備蓄品を社員へ案内する
入れ替え時期を複数回に分散する
実際に非常食を食べてみることには、食品ロスを減らすだけでなく、「社員が食べられる商品か」を確認できるメリットもあります。
食物アレルギー、味、調理に必要な水やお湯なども、平常時に確認しておきましょう。
賞味期限が切れたら、すぐ食べられなくなる?
ここは少し整理しておきたいところです。 賞味期限と消費期限は意味が違います。
農林水産省によると、賞味期限は、未開封で表示された保存方法を守った場合の「おいしく食べられる期限」です。期限を過ぎたからといって、直ちに食べられなくなるという意味ではありません。一方、消費期限は安全に食べられる期限で、期限を過ぎた食品は食べない方がよいとされています。
ただし、会社の防災備蓄は別の考え方で管理。
「賞味期限を少し過ぎても食べられるかもしれない」ことと、「災害用備蓄として安心して社員へ提供できる状態を維持する」ことは別です。
災害時の備蓄として確実に使える状態を保つためにも、賞味期限を迎える前に入れ替えるルールをおすすめします。
保存場所が悪いと、期限内でも安心とは限らない
賞味期限だけ見ていればいいわけではありません。 期限表示は、基本的に未開封で、表示された保存方法を守った場合を前提としています。
倉庫が高温になる。 直射日光が当たる。 水濡れする。 箱が潰れている。 ペットボトルや容器が破損している。
こうした状態では、期限だけを見て判断しない方が安全です。
- □ 直射日光が当たっていないか
- □ 高温多湿になっていないか
- □ 水濡れしていないか
- □ 箱や容器が破損していないか
- □ すぐ取り出せる場所にあるか
- □ 一か所に集中しすぎていないか
東京都の事業所向け事例でも、備蓄品を複数の場所へ分けて保管する取り組みが紹介されています。 倉庫が被災して取り出せないケースも考え、「期限管理+保管場所管理」をセットにしましょう。
会社の備蓄全体を見直すなら、 オフィスの防災備蓄チェックリスト|総務担当者がまず確認すべき項目 も使ってみてください。
棚卸しは「年1回だけ」より分散するとラク
社員100人分の水、非常食、非常用トイレ、衛生用品を一日で全部確認するのは大変です。 そこで、備蓄品によって確認月を分ける方法もあります。
たとえば。
4月:水・非常食
7月:衛生用品・救急用品
10月:非常用トイレ・防寒用品
1月:電池・照明・充電用品
または、半年に1回すべてを確認する方法でも構いません。 大切なのは、「担当者が思い出したときに確認する」のをやめることです。
確認月と担当者を最初から年間スケジュールへ入れておけば、担当者が変わっても運用しやすくなります。
担当者が異動しても回るルールにする
備蓄管理が一人の総務担当者に依存している会社もあります。 でも、その人が異動や退職をした途端に賞味期限管理が止まるのは避けたいところです。
最低限、決めておきたいこと。
誰が管理する?
いつ点検する?
どのファイルで管理する?
誰が購入を承認する?
期限が近い物をどう使う?
入れ替え後は誰が更新する?
備蓄管理は「防災用品を買う仕事」ではなく、会社として継続的に回す業務にしておくことが重要です。
備蓄管理はBCPにもつながる
災害が起きたとき、社員を事業所に待機させるなら、水、食料、非常用トイレなどが実際に使える状態でなければなりません。 首都直下地震の帰宅困難者対策では、事業所の備蓄量は3日分を目安とする考え方が示されています。
つまりBCPに「社員を3日間社内待機させる」と書いてあっても、備蓄品が期限切れ・数量不足なら計画どおりに動けません。
BCPを支えるのは、日々の備蓄管理。
必要量を決める
↓
備蓄する
↓
期限・数量を管理する
↓
定期的に入れ替える
↓
災害時に使える状態を維持する
BCPの基本については、 BCPとは?事業継続計画の意味と策定手順を企業防災の視点で解説 でも詳しく紹介しています。
まとめ|賞味期限より「入れ替え期限」を決めよう
会社の防災備蓄で大切なのは、賞味期限を記録するだけではありません。 「いつ確認し、いつ入れ替えるか」まで決めることです。
会社で決めたい5つのルール。
① 備蓄品を一覧化する
② 賞味期限・数量・保管場所を記録する
③ 点検する月を決める
④ 賞味期限より前に入れ替える
⑤ 訓練や社内配布などで無駄なく活用する
非常食が300食あっても、災害時に使えなければ「300食備蓄している」とは言えません。 買った数ではなく、今使える数を把握する。 これが会社の備蓄管理の基本です。
Bousailyでは、企業・施設・団体などの防災備蓄や、防災用品の選定についてご相談いただけます。
「何を備えればいいか分からない」「必要な数量を整理したい」「備蓄品をまとめて検討したい」といった段階からでもお気軽にご相談ください。
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