朝、出社して手を洗おうとしたら、 水が出ない。
給湯室も使えない。
トイレの水も流れない。
そんなとき、 総務担当者は何から対応すればいいのでしょうか。
「水が出ないだけなら、仕事は続けられる?」
実は、 オフィスの断水は思っている以上に厄介です。
飲み水だけでなく、 トイレ、手洗い、清掃など、 社員が会社で過ごすための環境に影響します。
オフィスが断水したら、まず確認したいのは3つ。
① 断水の原因と復旧見込み
② トイレ・手洗いなどの使用可否
③ 社員が安全に待機できる環境か
業務を続けるかどうかは、 そのあとで判断します。
オフィスが断水したら、まず何をする?
蛇口から水が出なくなった。
そんなとき、 いきなり備蓄水を配り始めるのではなく、 まず状況を確認します。
- □ 断水している範囲を確認する
- □ 水道局・自治体の情報を確認する
- □ ビル管理会社へ連絡する
- □ トイレや手洗い設備の使用可否を確認する
- □ 飲料水・非常用トイレの在庫を確認する
- □ 社員へ利用できる設備と注意事項を共有する
特にテナントオフィスでは、 ビル全体の断水なのか、自社フロアだけの問題なのか を確認することが大切です。
受水槽や給水ポンプなど、 建物側の設備が原因となっている場合もあります。
また、 地震による断水なのか、 設備故障による断水なのかによって、 トイレの対応も変わります。
① トイレは流していい?地震後は特に注意
オフィスの断水で、 最も早く困りやすいのがトイレです。
「タンクに水が残っているから流そう」
「バケツの水を使えば大丈夫」
そう考えるかもしれません。
でも、 地震のあとなら、すぐに流さないでください。
断水と排水設備の損傷は別の問題です。
給水が止まっているだけなら、 排水設備や便器の状態、メーカーの使用条件によっては、 バケツの水で流せる場合があります。
一方、大きな地震のあとは、 排水管が損傷している可能性があります。
安全が確認できない状態で流すと、 汚水の逆流や漏水につながるおそれがあります。
特に高層ビルや複数階のオフィスでは、 排水管を他のフロアと共有していることがあります。
自社のトイレが問題なく見えても、 別の階で排水設備が損傷しているかもしれません。
地震後は、下水道や建物内の排水設備の安全が確認できるまで、水を流さず非常用トイレを使う。
これを基本に考えましょう。
非常用トイレは何回分必要?
オフィスで社員が待機するなら、 非常用トイレの備蓄が必要です。
計算の目安は、 1人1日5回。
3日分なら、 1人あたり15回分 です。
| 待機人数 | 3日分の目安 |
|---|---|
| 10人 | 150回分 |
| 20人 | 300回分 |
| 30人 | 450回分 |
| 50人 | 750回分 |
人数が増えると、 必要な数量も大きくなります。
非常用トイレは、 凝固剤だけでなく、排便袋や処理袋も必要です。
購入時には、 セット内容と使用回数を確認しましょう。
詳しくは、 オフィスの非常用トイレは何個必要?人数別の備蓄量と選び方 で解説しています。
BOS 非常用トイレ 100回分
断水時に水洗トイレが使えなくなった場合に備える非常用トイレセットです。 オフィスでは待機人数から必要回数を計算し、不足しない数量を備蓄しておきましょう。 使用後の保管場所や廃棄方法まで、平常時に決めておくことも大切です。
※価格・在庫状況は各販売ページでご確認ください。
② 飲料水は何リットル必要?社員数から計算する
次に確認したいのが、 飲料水です。
オフィスの水道が止まっても、 社員が水分補給できるようにしておく必要があります。
東京都の帰宅困難者対策では、 事業所における備蓄の目安として、 1人1日3L、3日分で9L の飲料水が示されています。
飲料水の備蓄量の目安
10人:90L
20人:180L
30人:270L
50人:450L
たとえば20人が待機するオフィスなら、 3日分で180L。
2Lペットボトルなら、 90本分です。
かなりの量になります。
だからこそ、 断水してから買いに行くのではなく、 平常時に備蓄しておきます。
飲料水をトイレや掃除に使わない
断水すると、 水が必要な場面が一気に増えます。
トイレ。
手洗い。
食器洗い。
清掃。
でも、 限られた飲料水をすべてに使ってしまうと、 肝心の水分補給ができなくなります。
飲料水と生活用水は分けて考える。
飲料水は飲用・食事用として確保します。
手洗いや清掃などに必要な水は、 別途備蓄や代替手段を検討します。
1人1日3Lという目安だけで、 手洗い・清掃用の水まで十分とは限りません。
人数別の備蓄量については、 企業の防災備蓄は何日分必要?従業員数別の計算方法 でも詳しく紹介しています。
家庭・オフィスを問わず、 水の基本的な備蓄量や保存方法については、 防災用の水は何リットル必要?家族人数別の備蓄量と保存方法を解説 も参考にしてください。
③ 手洗いできない。衛生対策はどうする?
断水すると、 意外と困るのが手洗いです。
トイレのあと。
食事の前。
共用設備を使ったあと。
いつもなら当たり前にできる手洗いが、 できなくなります。
流水で手洗いできない場合に備えて、 手指消毒薬などの衛生用品を準備しておきます。
ただし、 アルコール消毒だけですべての汚れや病原体に対応できるわけではありません。
水道が使える状態に戻ったら、 石けんと流水による手洗いを基本にします。
- □ 手指消毒薬
- □ ウェットティッシュ
- □ ペーパータオル
- □ 使い捨て手袋
- □ ゴミ袋
- □ トイレットペーパー
- □ 生理用品などの衛生用品
また、 トイレを使ったあとに、 どこで手指を清潔にするのか。
ゴミをどこへ集めるのか。
誰が衛生用品を補充するのか。
用品だけでなく、使い方と管理方法まで決めておくこと が大切です。
断水時に必要な衛生用品については、 断水時に備えたい衛生用品 でも詳しく紹介しています。
④ 給湯室が使えない。食事はどうする?
断水すると、 オフィスの給湯室も使いにくくなります。
コップを洗えない。
食器を洗えない。
調理器具を洗えない。
そんなときに考えたいのが、 洗い物をできるだけ出さないこと。
断水中の食事は「洗わなくて済む」工夫を。
個包装の非常食を使う。
使い捨ての紙皿・紙コップを活用する。
食品用ラップなどを使い、 食器を直接汚さないようにする。
使用後のゴミを分別して保管する。
ただし、 ラップや使い捨て容器を使っても、 手指や食品の衛生管理が不要になるわけではありません。
特に食品を扱う際は、 清潔な手や器具を使い、 食品の保存状態にも注意します。
断水時に食器を洗わずに食事する方法については、 断水時、食器はどうする?水を使わず洗い物を減らす方法 も参考にしてください。
⑤ 断水中、社員は会社に残る?業務を続ける?
断水したら、 必ず会社を閉めなければならない。
というわけではありません。
ただし、 水が使えない状態で、社員が安全に過ごせるか を考える必要があります。
判断したいポイント。
飲料水は確保できている?
使用できるトイレはある?
手洗い・衛生管理はできる?
断水の復旧見込みは?
業務を続けるために水が必要?
たとえば、 パソコンを使う事務作業が中心の会社と、 飲食店や医療施設では、 断水の影響が大きく異なります。
事務作業中心でも、 トイレや衛生環境が確保できなければ、 通常どおりの勤務は難しくなります。
一方、 大規模災害で交通機関が止まっている場合は、 社員をすぐ帰宅させることが安全とは限りません。
施設の安全性と周辺の状況を確認し、 必要に応じて社内待機やテレワークなどを判断します。
帰宅困難者への対応については、 災害時の帰宅困難者対策|企業が準備すべきこと でも詳しく紹介しています。
⑥ 断水対策はBCPにも入れておこう
オフィスの断水は、 防災備蓄だけの問題ではありません。
トイレが使えない。
衛生環境を維持できない。
設備を動かせない。
こうした状況は、 会社の事業継続にも影響します。
だからこそ、 断水したときの対応をBCPや防災マニュアルに入れておく ことが重要です。
最低限、会社で決めておきたいこと。
① 誰が断水情報を確認するか
② 誰がビル管理会社と連絡するか
③ トイレの使用停止を誰が判断するか
④ 備蓄品を誰が配布するか
⑤ 業務継続・社内待機を誰が判断するか
担当者が不在でも動けるように、 副担当も決めておきましょう。
また、 断水から復旧した際も、 すぐに通常利用を再開するのではなく、 水道局や建物管理者などの案内を確認します。
企業の防災対策を全体から見直すなら、 オフィスの防災備蓄チェックリスト|総務担当者がまず確認すべき項目 も参考にしてください。
BCPそのものについては、 BCPとは?事業継続計画の意味と策定手順を企業防災の視点で解説 で詳しく解説しています。
まとめ|オフィスの断水対策は「水だけ」では足りない
オフィスの断水対策というと、 飲料水の備蓄を思い浮かべるかもしれません。
でも、 実際にはそれだけでは不十分です。
会社で確認したい5つの備え。
① 飲料水を必要人数分確保する
② 非常用トイレを備える
③ 手洗い・衛生用品を準備する
④ 食事やゴミの処理方法を決める
⑤ 社内待機・業務継続の判断ルールを作る
特に、
「水がないとき、社員はどこでトイレを使う?」
この質問に答えられない会社は、 一度備蓄を見直してみてください。
防災備蓄は、 ただ商品を買うことではありません。
災害が起きても、社員が安全に過ごせる環境を作ること。
まずは、 オフィスの水と非常用トイレの数量を確認するところから始めましょう。
Bousailyでは、企業・施設・団体などの防災備蓄や、防災用品の選定についてご相談いただけます。
「何を備えればいいか分からない」「必要な数量を整理したい」「備蓄品をまとめて検討したい」といった段階からでもお気軽にご相談ください。
法人向け防災について相談する参考情報
- 東京都下水道局|災害時のトイレ対策について
- 東京都防災ホームページ|災害時のトイレ対策
- 厚生労働省|災害時における感染症対策
- 厚生労働省|ノロウイルスに関するQ&A
- 東京都防災ホームページ|事業者向け帰宅困難者対策
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