家族4人で1週間分の非常食を用意した。単純計算なら84食あります。でも、いざ子どもにアルファ米や缶詰を出したら「これ食べない」と言われた——。
子どもの非常食で怖いのは、備蓄の数は足りているのに、実際に食べられるものが足りないことです。
だからといって、子ども専用の長期保存食を大量に買う必要はありません。小学生くらいなら、普段食べている常温食品を少し多めに置く方法でも備えられます。
一方、乳児や離乳食期の子ども、食物アレルギーがある子どもは、大人とは分けて考える必要があります。
子ども用の非常食は必要?答えは「年齢による」
| 年齢・状況 | 備え方 |
|---|---|
| 小学生以上 | 普段食べている常温食品を中心に備える |
| 幼児 | 食べ慣れた味・硬さ・量を意識する |
| 離乳食期 | 月齢に合った市販離乳食を別に確保する |
| 乳児 | 普段使うミルクや授乳用品を家庭に合わせて備える |
| 食物アレルギーがある | アレルゲンを避けた食品を専用に確保する |
農林水産省では、家庭の食品備蓄について最低3日分から1週間分程度を人数分備えることを案内しています。また、乳幼児や食物アレルギーのある人などについては、一般の備蓄とは別に配慮した食品を準備する考え方を示しています。
つまり、家族全員が同じ非常食を同じ量だけ食べる前提ではなく、「この子が災害時に実際に食べられるものは何か」から考えるのがポイントです。
「21食ある?」より「21食、食べられる?」
3日分なら1人9食、7日分なら21食。数字だけなら簡単ですが、子どもの備蓄ではここにひと手間必要です。
たとえば、白いアルファ米は食べるけれど五目ご飯は嫌い、魚の缶詰は食べない、辛いレトルトカレーは無理、口の中が乾くクラッカーはあまり食べない。
普段なら別の料理を作れますが、断水や停電中にはそう簡単にいきません。
子どもの非常食は「何食あるか」ではなく、「食べられる食数が何食あるか」で数える。
非常食1週間分の全体量については、 非常食1週間分、何を備える?7日間のメニュー例 でも具体例を紹介しています。
防災専用食品より、まず「いつもの食品」を増やす
子どもの備蓄で取り入れやすいのがローリングストックです。普段食べている食品を少し多めに買い、古いものから食べ、使った分を補充します。
農林水産省も、非常食だけでなく日常食品を組み合わせて備蓄する方法を推奨しています。子どもにとっては、災害時にも見慣れた味を食べられることがメリットです。
主食
- パックご飯
- レトルトのおかゆ
- アルファ米
- パンの缶詰
- シリアル
- 常温保存できるパン
普段ご飯をよく食べる子なら、ご飯系を中心に。パン派ならパンやシリアルも入れるなど、家庭の食生活に寄せて構いません。
おすすめ①|調理せず食べられる保存パン
水や加熱が必要な食品ばかりだと、断水や停電時に困ることがあります。そこで備えておきたいのが、袋を開けてそのまま食べられる保存パンです。
尾西食品 尾西のひだまりパン 12個セット
プレーン・メープル・チョコなどの味が楽しめる長期保存パン。調理用の水や加熱が不要で、袋を開ければそのまま食べられます。ご飯以外の主食も備えたい家庭や、パンが好きな子どもの非常食に向いています。購入前に一度食べて、好みの味を確認しておくのがおすすめです。
※味の組み合わせや保存期限は販売商品によって異なる場合があります。購入前に商品内容と賞味期限を確認してください。
主菜になるもの
- ツナ缶
- 魚の缶詰
- 肉系の缶詰
- 豆類のパウチ
- 子どもが食べ慣れたレトルト食品
大人向けの非常食セットだけを買うと、味が濃い、辛い、食感が苦手などの理由で子どもが食べない場合があります。
購入前に一度食卓へ出してみると、備蓄してよい食品か判断しやすくなります。
おすすめ②|幼児にも食べやすいレトルトカレー
辛いカレーが苦手な子どもには、幼児向けのレトルト食品も選択肢になります。普段から食べている商品なら、災害時にも取り入れやすくなります。
S&B カレーの王子さま レトルト 70g
子ども向けのマイルドな味付けが特徴のレトルトカレー。1歳頃からを対象とした商品で、幼児の食事を備えたい家庭にも取り入れやすい食品です。パックご飯などと組み合わせれば主食とおかずを用意できます。普段から食べているか、常温でも食べられる仕様かを確認して備えましょう。
※対象年齢やアレルギー情報は商品パッケージを確認してください。食物アレルギーがある場合は、購入ごとに原材料表示を確認しましょう。
おやつも「非常食」と考えていい
非常食というと、ご飯・パン・缶詰ばかり考えがちですが、子どもが普段食べているおやつも備蓄に使えます。
農林水産省も、災害時は緊張や不安が多いため、甘いものや食べ慣れたおやつなどの嗜好品を一緒に備えておくことを紹介しています。
- ビスケット
- せんべい
- ゼリー
- 小分けのお菓子
- ドライフルーツ
- 子どもが普段から食べている保存しやすいおやつ
ただし、年齢によっては硬いものや喉につまりやすい食品が適さない場合があります。普段から安全に食べているものを基準に選びましょう。
「好きなもの」だけでは足りない
食べてくれることは大切ですが、1週間ずっとお菓子やパンだけというわけにもいきません。
備蓄は主食だけでなく、肉・魚・豆類などのたんぱく源や、果物加工品なども組み合わせます。
非常食をカロリーの視点から考える方法は、 災害時の非常食は何kcal必要?食数だけでなくカロリーで考える備蓄 でも解説しています。
子どもは年齢や体格によって必要量が大きく異なります。特定のカロリー数を一律に当てはめるより、普段1日にどれくらい食べているかを参考にする方が実践的です。
わが家の1日分を、そのまま非常食に置き換える
「何を買えばいいか分からない」という場合は、昨日子どもが食べたものを思い出してみてください。
それを常温保存できる食品へ置き換えると、かなり具体的になります。
| いつもの食事 | 備蓄に置き換える例 |
|---|---|
| 朝:パン+牛乳+果物 | 保存パン+ロングライフ牛乳+果物缶 |
| 昼:ご飯+おかず | パックご飯+食べ慣れたレトルト |
| おやつ | いつものお菓子を多めにストック |
| 夜:ご飯+肉・魚 | アルファ米+肉・魚の缶詰 |
この方法なら、いきなり「防災食を21食選ぶ」という難しい作業をしなくて済みます。普段の1日を作り、それを3日分、さらに余裕があれば1週間分へ広げていきましょう。
「温めないと食べない」も確認しておく
子どもが普段食べているレトルト食品でも、「冷たいままでは嫌」ということがあります。
災害時は停電やガス停止で、いつも通り温められるとは限りません。
一度、常温でも食べられる商品か、温めるならどうするかまで確認しておきましょう。
災害時のカセットコンロ料理については、 災害時に作れるカセットコンロ料理 も参考にしてください。
水を使わない食品も混ぜておく
アルファ米やカップ食品などは便利ですが、調理に水が必要な商品もあります。
断水時は飲料水そのものが貴重なので、すべての非常食が水を必要とすると負担が増えます。
開封してそのまま食べられるレトルト、缶詰、保存パンなども組み合わせておきましょう。
家庭で必要な水の備蓄量は、 災害用の水は何リットル必要?家族人数別の備蓄量 で確認できます。
乳児は「家族と同じ非常食」では対応できない
乳児がいる家庭は、大人や小学生とは別に備えます。
農林水産省の乳幼児向け資料では、粉ミルク・液体ミルク、授乳に必要な用品、飲料水などが備蓄品として挙げられています。
普段から育児用ミルクを利用している家庭では、日常使用分とは別に余裕を持たせておきましょう。
液体ミルクは調乳用の水や熱源を使わずに利用できるため、断水や停電時の選択肢にもなります。
おすすめ③|調乳不要の液体ミルク
災害時にお湯を用意できない状況を考えると、液体ミルクは心強い備蓄の一つです。普段使用しているミルクの種類や、赤ちゃんの飲み慣れた味に合わせて選びましょう。
江崎グリコ アイクレオ 赤ちゃんミルク 125ml×18本
調乳せずに使える125ml紙パックタイプの乳児用液体ミルク。常温保存でき、災害時にお湯や調乳用の水を準備できない場面でも利用できます。普段から赤ちゃんが飲めることを確認し、必要な回数や量に合わせて備えておきましょう。
※液体ミルクはメーカーが案内する使用方法に従ってください。哺乳器具の衛生管理、開封後の取り扱い、保存期限も確認しましょう。普段の授乳方法に合わせて備えることが大切です。
授乳方法や衛生管理は、災害時には平常時と条件が変わることがあります。自治体や医療・母子保健機関などの情報も確認してください。
離乳食期なら「月齢に合うもの」を別枠で
離乳食期の子どもは、大人の非常食をそのまま取り分けられるとは限りません。硬さ、大きさ、味付けなどが年齢に合わないことがあります。
農林水産省の乳幼児向け資料では、離乳食のような代替しにくい食品を余裕を持って備えることが勧められています。
月齢に合った瓶詰めやレトルトの離乳食を、普段から試しておくことが大切です。
物流が止まった場合には入手が難しくなることもあるため、一般の家族用備蓄とは別に必要量を考えておきましょう。
幼児は「食べられる形」まで見る
3〜5歳くらいになると大人と同じ食品を食べられる場面も増えますが、味や食感の好みにはまだ差があります。
大人向け非常食セットをそのまま人数分増やすより、普段食べているものを基準に選んだ方が現実的です。
スプーンが必要な食品なら使い捨てスプーンを用意する、袋から直接食べにくいなら紙皿も備えるなど、食品だけでなく「どう食べるか」まで考えておきましょう。
食物アレルギーがあるなら「支援物資を待つ」は危険
食物アレルギーがある子どもは、家庭で食べられる食品を確保しておく重要性がさらに高くなります。
支援物資が届いても、その中に安全に食べられる食品が十分あるとは限らないからです。
農林水産省は、食物アレルギーがある人について、原因となるアレルゲンが含まれていない食品を選び、購入時には原材料表示やメーカー情報を確認するよう案内しています。
いつも買っている商品でも、購入時には表示を確認。
原材料や製造条件が変更される可能性もあるため、備蓄を入れ替えるたびにチェックしましょう。
子ども用だけ別の箱にしすぎない
「子ども用」として防災倉庫の奥へしまうと、賞味期限切れに気づきにくくなります。
日常的に食べる食品はキッチンに置き、普段から使って補充する方が管理しやすくなります。
一方、長期保存の離乳食やアレルギー対応食品など、切らしたくないものは専用スペースを決めておくのも方法です。
半年に1回など、家庭で点検日を決めて期限を確認しましょう。
「3日分」と「1週間分」をいきなり完成させなくていい
家族4人で1週間分をそろえようとすると、かなりの量になります。
そこで、まず3日分だけ作り、その後いつもの買い物で少しずつ増やす方が続けやすくなります。
農林水産省では、最低3日分から1週間分程度の食品備蓄を勧めています。地域の災害リスクや家庭事情によっては、さらに多めの備えを検討します。
食品全体の必要日数については、 非常食は何日分必要?家庭で備えたい日数の目安 もあわせて確認してください。
子ども用非常食をそろえるなら、まずこの7つを見る
- □ 普段から食べている食品か
- □ 年齢に合った硬さ・大きさか
- □ 常温でも食べられるか
- □ 水や加熱がなくても食べられるものがあるか
- □ 主食だけでなく主菜や果物などもあるか
- □ おやつ・好物も少し入っているか
- □ アレルギーや個別の食事制限に対応しているか
子どもの防災用品を食品以外もまとめて確認するなら、 子どもの防災グッズ|年齢別に備えたいもの も参考にしてください。
一度「非常食だけの日」をやってみる
おすすめなのは、休日の昼食などで備蓄食品を実際に食べてみることです。大げさな防災訓練にする必要はありません。
子どもが食べるか、量は足りるか、開封しやすいか、スプーンが必要か、常温でも食べられるか。
1回試すだけで、買い足すべきものと「これは備蓄しなくていい」がかなり分かります。
そして子どもに「これとこれなら、災害のときどっちが食べたい?」と聞いてみるのも方法です。
備蓄を親だけで決めず、子ども自身が食べられるものを選ぶと、実際に使える非常食に近づきます。
まとめ|子どもの非常食は「特別なもの」から始めなくていい
子どものために、防災専用の食品を一式買わなければならないわけではありません。
小学生や幼児なら、普段食べている常温食品やおやつを少し多めに置くことから始められます。
ただし、乳児、離乳食期、食物アレルギーなど、代わりの食品を簡単に用意できない場合は別です。こうした食品は一般の家族用備蓄とは分け、余裕を持って確保しておきましょう。
「子ども用非常食を何個買う?」ではなく、「停電して店にも行けない日に、この子は何を食べる?」。
まず明日の食事を1日分だけ見て、常温で置いておけるものを1つ多く買うところから始めてみてください。
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