台風が近づいている。大きな地震のニュースを見た。そんなとき、「ペットボトルの水が足りないから、とりあえず水道水を容器に入れておこう」と考える人も多いのではないでしょうか。
水道水は、正しくくみ置きすれば災害時の飲料水として使えます。ただし、浄水器を通す、容器へ少しだけ入れる、何週間もそのまま置いておく、といった保存方法には注意が必要です。
先に結論
東京都水道局では、水道水を清潔な容器へ口元いっぱいまで入れた場合、直射日光を避けた常温で3日程度、冷蔵庫で10日程度を保存の目安としています。浄水器を通したり沸かしたりせず、蛇口からそのまま入れるのがポイントです。
水道水は何日保存できる?
東京都水道局が示している水道水のくみ置き期間は、常温なら3日程度、冷蔵庫なら10日程度が目安です。常温で保存する場合は、直射日光を避けてできるだけ涼しい場所へ置きます。
| 保存場所 | 目安 |
|---|---|
| 直射日光を避けた常温 | 3日程度 |
| 冷蔵庫 | 10日程度 |
この期間は、水道水に含まれる塩素の消毒効果が持続する目安です。保存した日を容器へ書いておけば、「いつ入れた水だっけ?」となりにくく、入れ替えもしやすくなります。
なぜ水道水は数日保存できる?
普段、蛇口から出てくる水道水には、衛生状態を保つための残留塩素が含まれています。この塩素が、くみ置きしたあとも一定期間、雑菌の繁殖を抑える役割をします。
ただし、塩素は時間の経過や温度などによって減っていきます。そのため、できるだけ空気に触れさせず、直射日光を避けて保存することが大切です。
水道水の保存では、塩素をなるべく残すのがポイント。
特別な処理を加えるより、蛇口から出た水道水をそのまま正しく保存します。
水道水のくみ置きは4ステップ
特別な防災用品がなくても、清潔でふたのできる容器があれば始められます。
水道水のくみ置き方法
① 清潔でふたのできる容器を用意する
② 蛇口から水道水を直接入れる
③ 容器の口元いっぱいまで入れる
④ ふたを閉め、直射日光を避けて保存する
容器には保存した日を書いておきましょう。常温保存なら3日程度を目安に入れ替えると管理しやすくなります。
容器は「口元いっぱい」まで入れる
水を入れるとき、「少し軽くしておこう」と8割程度で止めたくなるかもしれません。しかし飲料用としてくみ置きする場合は、できるだけ空気に触れないよう、容器の口元まで水を入れるのが基本です。
東京都水道局も、清潔でふたのできる容器へ、できるだけ空気に触れないよう口元までいっぱいに入れるよう案内しています。
浄水器を通した水は保存に向かない
普段は浄水器の水を飲んでいる家庭でも、災害用のくみ置きでは注意が必要です。浄水器によって水道水に含まれる塩素が除去されると、長く衛生状態を保ちにくくなります。
東京都水道局では、浄水器を通した水は毎日くみ替えるよう案内しています。数日間のくみ置きをするなら、浄水器を通さず蛇口から直接入れましょう。
一度沸かした水も保存用にはしない
「一度沸騰させた方が清潔だから長持ちしそう」と思うかもしれません。しかし、沸かすことで消毒用の塩素が減ってしまいます。
災害用としてくみ置きするなら、蛇口から出た水道水を沸かさず、そのまま清潔な容器へ入れるのが基本です。
何Lくみ置きすればいい?
水の備蓄量は、飲料と調理用を合わせて1人1日おおよそ3Lがひとつの目安です。家庭では最低3日分、できれば1週間分程度を考えておくと安心です。
| 人数 | 3日分 | 7日分 |
|---|---|---|
| 1人 | 9L | 21L |
| 2人 | 18L | 42L |
| 3人 | 27L | 63L |
| 4人 | 36L | 84L |
ただし、4人家族で84Lすべてを水道水のくみ置きだけで管理するのは大変です。市販のペットボトルを普段から備蓄し、台風前などに水道水のくみ置きを追加する方法が現実的です。
必要な水の量については、 防災用の水は何リットル必要?家族人数別の備蓄量 でも詳しく解説しています。
ペットボトルと水道水、どちらを備える?
どちらか一方に決める必要はありません。長期間保管しやすい市販のペットボトルは普段の備蓄に、水道水のくみ置きは台風接近時などの追加備蓄に使うと管理しやすくなります。
| 水道水のくみ置き | 市販の水 | |
|---|---|---|
| 保存期間 | 短い | 比較的長い |
| コスト | 低い | 購入費がかかる |
| 入れ替え | 数日ごと | 賞味期限に合わせる |
| 向いている使い方 | 直前の追加備蓄 | 日常的な備蓄 |
たとえば普段からペットボトルをローリングストックしておき、台風が近づいたら給水容器にも水道水を追加する。こうすれば、備蓄量を増やしながら管理の手間も抑えられます。
2Lと500mlの使い分けについては、 防災用の水は2Lと500mlどっち?備蓄しやすい組み合わせ も参考にしてください。
くみ置き用の容器は何Lがいい?
容量を選ぶときに忘れたくないのが水の重さです。水は1Lで約1kgなので、10Lなら水だけで約10kg、20Lなら約20kgになります。
徒歩で運ぶ可能性まで考えるなら、5〜10L程度へ分散する方が扱いやすくなります。一方、自宅でのくみ置きを中心に考えるなら、大容量の容器を組み合わせる方法もあります。
「何L入る?」より「満水にして扱える?」。
容量が大きいほど安心とは限りません。保存場所と、実際に水を入れたあとの重さまで考えて選びましょう。
おすすめ①|運びやすさも考えるなら10L
給水所から歩いて持ち帰る可能性があるなら、容量だけでなく運び方も重要です。手だけで10kg前後の水を運ぶのは負担になるため、背負えるタイプも選択肢になります。
HYGGE フレックスウォーターバッグ 10L
10L容量の折りたたみ式ウォーターバッグ。背負って運べるほか、自立式で給水コックも付いているため、断水時の給水や家庭で水を使う場面に便利です。使わないときは折りたためるので、収納スペースを抑えたい家庭にも向いています。
※10Lの水は約10kgになります。実際に背負って安全に運べる重さか確認してください。飲料水のくみ置きに使用する場合は、使用前に容器を清潔にし、製品の取扱方法や保存上の注意も確認してください。
おすすめ②|自宅で容量を確保したいなら20L
「歩いて遠くまで運ぶ」より、自宅でまとまった水量を確保したい場合は20Lクラスも選択肢です。ただし満水時は約20kgになるため、持ち運び用というより置く場所を決めて使う大容量容器として考えた方が現実的です。
APMジャパン 折りたたみウォータータンク 20L
20L容量を確保できる折りたたみ式ウォータータンク。使用しないときはコンパクトに収納できるため、普段は防災用品と一緒に保管し、台風前や断水が心配なときに使う方法もあります。大容量なので、自宅で生活用水なども含めて水を確保したい場合に便利です。
※20Lの水は約20kgになります。満水状態で無理に持ち運ばず、使用場所の近くで給水するなど安全に扱ってください。飲料水の保存に使用する場合は、製品の用途・取扱方法を事前に確認してください。
10Lと20L、どちらを選ぶ?
容量だけを見ると20Lの方が安心に見えますが、用途によって正解は変わります。給水所まで歩いて水を取りに行くなら10L前後、自宅で水量を確保するなら20Lを組み合わせるなど、使い分けるのがおすすめです。
| 容量 | 向いている使い方 | 満水時の水の重さ |
|---|---|---|
| 5L前後 | 子ども・高齢者を含む分散運搬 | 約5kg |
| 10L前後 | 大人が運ぶ・給水所との往復 | 約10kg |
| 20L前後 | 自宅での水量確保 | 約20kg |
給水所で使う容器については、 給水所へ水を取りに行くなら何L?給水バッグの選び方 でも詳しく解説しています。
保存期間を過ぎた水は捨てなくていい
常温で3日程度を過ぎたからといって、そのまま排水口へ流す必要はありません。東京都水道局では、保存期間が過ぎた水をトイレなどの生活用水として使うよう案内しています。
掃除や洗濯など、断水時は飲料以外にも水を使います。飲料用として入れ替えた古い水を生活用水へ回せば、無駄なく循環できます。
断水時のトイレについては、 断水時、トイレの水は流していい?地震後に確認したいこと も確認しておきましょう。
お風呂の残り湯も役立つ?
浴槽の水は飲料水にはできませんが、掃除などの生活用水として役立つ場合があります。飲料水とは別に生活用水を確保しておけば、せっかく備蓄した飲み水を掃除などに使わずに済みます。
ただし、地震後にトイレへ水を流す場合は、排水管や下水設備が損傷していないか確認する必要があります。「水がある=トイレへ流していい」ではない点には注意してください。
台風前なら「直前にくむ」だけでも備えになる
水道水のくみ置きは保存期間が短いため、何か月も前から大量に保存しておく方法には向きません。一方で、台風の接近や大雨など、数日以内に断水する可能性がある場面では使いやすい備えです。
普段のペットボトル備蓄を確認し、足りない分を水道水で追加する。生活用水も確保する。こうした「災害直前の上乗せ備蓄」として考えると、くみ置きのメリットを生かせます。
水道水のくみ置きチェック
- □ 清潔でふたのできる容器を使う
- □ 浄水器を通さず蛇口から入れる
- □ 沸かさずに保存する
- □ 容器の口元いっぱいまで入れる
- □ 直射日光を避ける
- □ 保存した日付を書く
- □ 常温なら3日程度を目安に入れ替える
- □ 保存期間を過ぎた水は生活用水へ回す
- □ 給水容器は満水時の重さまで考える
まとめ|「何日もつ?」だけでなく「どう保存する?」
水道水は、清潔な容器へ正しく入れれば災害時の飲料水としてくみ置きできます。東京都水道局の目安は、直射日光を避けた常温で3日程度、冷蔵庫で10日程度です。
水道水をくみ置きするときの基本
蛇口からそのまま入れる
↓
清潔な容器へ口元いっぱいまで
↓
しっかりふたをする
↓
直射日光を避ける
↓
日付を書いて入れ替える
そして容器選びでは、容量だけでなく満水時の重さも重要です。「何L入る?」ではなく、「必要なときに安全に保存・運搬できる?」。まずは自宅に、ふたのできる給水容器があるか確認してみてください。
参考情報
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