「大雨のたびに、玄関から水が入ってこないか心配…」
ゲリラ豪雨や線状降水帯のニュースを見るたびに、そんな不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
そこで検討したいのが、止水板(しすいばん)です。
止水板は、玄関やシャッター、半地下の入口など、水が流れ込みやすい場所に置いて浸水を軽減するための防災用品です。最近は工事で取り付けるタイプだけでなく、必要なときだけ出して並べる樹脂製の簡易タイプも増え、家庭でも手軽に備えられるようになりました。
東京都下水道局も、浸水への備えとして土のう・水のう・止水板などを準備しておくよう呼びかけています。 止水板は、避難の代わりではなく、浸水被害を少しでも減らすための事前対策として考えましょう。
この記事でわかること
- 止水板とは何か、どこに使うのか
- 正しい使い方と設置のタイミング
- 何枚必要?かんたんな計算方法
- 土のう・水のうとの違い
- 家庭向け止水板の選び方とおすすめ2選
止水板とは?
止水板とは、建物の出入口などに設置して、雨水が建物の中へ流れ込むのを防いだり、軽減したりするための板状の防災用品です。「防水板」「止水パネル」「浸水防止板」などの名前で売られていることもあります。
主に使われるのは、次のような場所です。
- 玄関・勝手口
- シャッター前・ガレージ
- 店舗の入口・倉庫
- 地下室・半地下の入口
特に、入口が道路より低い位置にある建物や、過去に道路が冠水したことがある地域では、備えておく価値が高いアイテムです。東京都下水道局も、半地下や地下室への雨水の流れ込み対策として止水板の設置を案内しています。
お住まいの地域の浸水リスクは、自治体のハザードマップで確認できます。国土地理院の ハザードマップポータルサイト では、洪水・内水・高潮などの災害リスクを住所から確認できます。止水板を購入する前に、まず自宅周辺で想定される浸水リスクを確認しておきましょう。
止水板はいつ使う?「水が来る前」が鉄則
止水板を使うのは、
- 台風
- ゲリラ豪雨
- 線状降水帯
- 河川の増水
- 道路の冠水
などで、建物のまわりに水がたまり始める前です。
いちばん大切なのは、浸水が始まってから設置しようとしないこと。すでに水が流れ込んでいる状態では、うまく設置できないうえに、外での作業そのものが危険です。
大雨や台風の予報が出たら、雨が強くなる前に設置できるよう、前日のうちに準備しておきましょう。
台風が近づく前に確認しておきたい備えは、 「台風が来る前にやること7つ」 でもまとめています。
止水板の使い方|4つのステップ
簡易タイプの止水板は商品によって構造が違いますが、基本の流れは次のとおりです。
ステップ1:浸水しそうな場所の幅を測る
玄関、勝手口、シャッター、ガレージなど、水が入ってきそうな場所の幅をメジャーで測ります。購入前に必ずやっておきたい作業です。
ステップ2:必要な枚数を準備する
止水板には、1枚で使うものと、何枚かつなげて使うものがあります。入口の幅より短いと左右から水が回り込んでしまうので、入口の幅を余裕をもってカバーできる枚数を用意しましょう(計算方法は次の章で紹介します)。
ステップ3:地面にぴったり密着させて置く
止水板は、地面とのすき間が少ないほど効果を発揮します。砂利や段差、凸凹が多い場所では、すき間から水が入りやすくなります。設置する場所の地面の状態を、晴れている日に確認しておきましょう。
ステップ4:必要に応じて土のう・水のうで支える
簡易止水板の中には、後ろから土のうや水のうで押さえて使うことを前提にした商品もあります。止水板と土のう・水のうを組み合わせると、ずれにくく、すき間もふさぎやすくなります。
止水板は何枚必要?かんたんな計算方法
止水板選びで、いちばん迷いやすいのがここです。基本の考え方は、
設置したい幅 ÷ 1枚あたりの有効幅 = 必要な枚数(端数は切り上げ)
です。
ただし、つなげたときに重なる部分がある商品も多いので、「連結したときに何cmカバーできるか」を商品説明で必ず確認してください。
幅70cmタイプの場合
この記事で紹介する樹脂製止水パネルは、1枚が幅約70cm・高さ約52cmのタイプです。
| 設置したい場所 | 計算 | 必要枚数の目安 |
|---|---|---|
| 玄関(幅80cm) | 80 ÷ 70 = 約1.1 | 2枚 |
| シャッター(幅200cm) | 200 ÷ 70 = 約2.9 | 3枚以上 |
実際には連結部分や端の余裕も必要なので、計算より1枚多めに考えておくと安心です。
ABO-32903の場合
旭電機化成の「止水板3枚組 ABO-32903」は、3枚つなげて約123cmをカバーでき、1枚増やすごとに約40cm長くなります。
| 枚数 | カバーできる幅の目安 | こんな場所に |
|---|---|---|
| 3枚 | 約123cm | 一般的な玄関(幅90cm前後) |
| 4枚 | 約163cm | 幅の広い玄関・勝手口 |
| 5枚 | 約203cm | シャッター(幅180cm前後) |
| 6枚 | 約243cm | ガレージ入口(幅230cm前後) |
3枚組なので、4枚以上必要な場合は2セット購入する必要があります。
見落としがち!止水板は「高さ」も大切
横幅だけでなく、どのくらいの高さまで水を止められるかも重要なポイントです。
簡易止水板は、どんな浸水にも対応できる万能な設備ではありません。東京都も、土のう・水のう・止水板は浅い浸水を軽減するための備えとして案内しています。
水位が高くなると、
- 板を越えて水が入ってくる
- 水の力で板がずれる
- 左右や底のすき間から水が入る
といったことが起こりえます。
つまり、「板の高さが40cmだから、40cmの浸水まで完全に防げる」という意味ではありません。板の高さ=止水できる高さではないので、商品ごとに案内されている止水の目安を確認しましょう。
止水板と土のう、どっちがいい?
止水板とよく比べられるのが土のうです。それぞれの特徴を比べてみましょう。
| 比較 | 止水板 | 土のう |
|---|---|---|
| 設置の早さ | 比較的早い | 数が多いと時間がかかる |
| 重さ | 樹脂製なら軽い | 重い |
| 保管 | 省スペースなタイプもある | 保管場所が必要 |
| くり返し使えるか | 商品によって可能 | 使用後の処分が必要な場合も |
| すき間対策 | 地面との密着が重要 | 形が変わるのですき間を埋めやすい |
| 向いている場所 | 玄関・シャッター | 玄関・敷地のまわり |
どちらか一方を選ぶというより、「止水板+土のう・水のう」の組み合わせがおすすめです。止水板で入口をふさぎ、土のうや水のうで押さえたり、すき間を埋めたりすると、それぞれの弱点を補い合えます。
家庭用止水板を選ぶ5つのポイント
1. 設置場所の幅に合っているか
購入前に、必ず玄関やシャッターの幅を測りましょう。「なんとなく3枚」で買うと、いざというときに足りないことがあります。
2. 止水できる高さ
背の低い製品ほど軽くて扱いやすい反面、止められる水の高さも低くなります。過去の冠水の状況やハザードマップを参考に選びましょう。
3. 一人で運べる重さか
大雨の前に、家に一人しかいないこともあります。一人でも運んで設置できる重さかどうかは大切なポイントです。
4. 収納場所に入るか
止水板は、ふだんは使わないものです。物置や玄関収納、倉庫など、しまっておける場所があるかを確認しておきましょう。
5. くり返し使えるか
樹脂製のタイプには、使ったあとに洗って何度も使える商品があります。毎年の台風シーズンに備えるなら、くり返し使えるものが経済的です。
おすすめ①|広い入口もカバーしやすい「樹脂製止水パネル(幅70cm)」
1つ目は、幅約70cm・高さ約52cmの樹脂製止水パネルです。
1枚・3枚・10枚・20枚と、必要な枚数に合わせて選べるので、玄関だけでなく、シャッター、倉庫、店舗など幅の違う場所にも合わせやすいのが特徴です。
1枚の幅が広いぶん、少ない枚数で広い範囲をカバーできます。家庭はもちろん、店舗や事業所の浸水対策としても検討しやすいタイプです。
広い範囲の浸水対策に|樹脂製 止水板 幅70×高さ52cm
1枚あたり幅約70cm・高さ約52cmの樹脂製止水パネル。 1枚・3枚・10枚・20枚から必要な数を選べるため、 玄関からシャッター、店舗・倉庫の入口まで、幅に合わせて準備しやすいタイプです。
※価格・在庫状況・仕様は変更される場合があります。購入前に販売ページで内容をご確認ください。
おすすめ②|軽くて扱いやすい「旭電機化成 止水板3枚組 ABO-32903」
2つ目は、旭電機化成の止水板3枚組 ABO-32903です。主な仕様は次のとおりです。
- 1枚約360gの軽量なポリプロピレン製
- 3枚つなげて約123cmをカバー
- 1枚追加するごとに約40cm延長
- 結束バンドでかんたんに連結
- 使用後は洗ってくり返し使える
とにかく軽くて収納しやすいので、「大きくて重い止水板は扱えるか不安」という家庭でも使いやすい選択肢です。
ただし、メーカーは水のうや土のうを重りとして積み、組み合わせて使うことを案内しています。単体で水を完全に止めるものではない点に注意しましょう。メーカーの吸水土のう(ABO-12905)を2段重ねた場合で、高さ約20cmの止水が目安とされています。
軽さ重視なら|旭電機化成 止水板3枚組 ABO-32903
1枚約360gと軽く、結束バンドでつなげるだけの組み立て式止水板。 3枚で約123cmをカバーし、1枚追加するごとに約40cm延長できます。 洗ってくり返し使えるので、毎年の台風・大雨シーズンの備えに。 水のう・土のうと組み合わせて使いましょう。
※価格・在庫状況・仕様は変更される場合があります。購入前に販売ページで内容をご確認ください。
2商品を比較|どっちを選ぶ?
| 項目 | 樹脂製止水パネル(70cm) | ABO-32903 |
|---|---|---|
| タイプ | 大型の樹脂パネル | 軽量の連結式 |
| 1枚でカバーできる幅 | 約70cm | 約40cm(連結時) |
| パネルの高さ | 約52cm | 約40cm |
| 重さ | 販売ページで確認 | 約360g/枚 |
| 販売単位 | 1・3・10・20枚 | 3枚セット |
| くり返し使用 | 販売ページで確認 | 洗って再利用可 |
| 向いている場所 | 玄関・シャッター・店舗 | 玄関・勝手口・小さめの入口 |
- 広い範囲を少ない枚数でカバーしたい → 樹脂製止水パネル(70cm)
- 軽さ・扱いやすさを優先したい → ABO-32903
という選び方がわかりやすいでしょう。
止水板を使うときの注意点
完全に水を防げるわけではない
簡易タイプの止水板は、浸水被害を軽減するためのものです。水が一滴も入らないことを保証するものではありません。大切な家電や書類は、あらかじめ高い場所に移しておくと安心です。
水が来る前に設置する
道路の冠水が始まってから外に出て作業するのは危険です。気象情報や自治体の情報をこまめに確認し、早めに準備しましょう。
止水作業より避難を優先する
止水板を設置するために、避難が遅れてしまっては本末転倒です。危険が迫っているときは、家を守る作業より、自分と家族の安全を最優先にしてください。 大雨・台風時に「いつ避難するか」で迷わないために、 「大雨・台風の避難タイミング」 もあわせて確認しておきましょう。
浸水のおそれがあるときは地下・半地下に入らない
地下や半地下は、水が一気に流れ込みやすく、水の圧力でドアが開かなくなることもあります。東京都下水道局も、浸水のおそれがあるときは地下・半地下に入らないよう注意を呼びかけています。
買ったら一度「設置の練習」をしておこう
止水板は、買っただけではいざというときにすぐ使えないことがあります。晴れた日に一度、実際に並べてみて、次のことを確認しておきましょう。
- 本当にその枚数で足りるか
- どの向きで置くか
- 連結のしかた
- 土のう・水のうをどこに置くか
- 収納場所から運んで設置するまで何分かかるか
大雨が降り始めてから説明書を読むのでは間に合わないかもしれません。台風シーズンの前に一度練習しておくと、本番でも落ち着いて動けます。
止水板についてよくある質問
Q. 止水板は玄関に何枚必要ですか?
必要枚数は、玄関の幅と商品の連結時の有効幅で決まります。 基本は「設置したい幅 ÷ 1枚あたりの有効幅」で計算し、端数は切り上げます。 ただし、連結部分の重なりや左右の余裕が必要な商品もあるため、必ず商品ごとの仕様を確認してください。
Q. 止水板だけで浸水を完全に防げますか?
簡易タイプの止水板は、浸水被害を防止・軽減するための補助的な対策であり、完全防水を保証するものではありません。 地面の凹凸、設置方法、水位、水圧などによっては、底部や左右から水が入る場合があります。
Q. 止水板は土のう・水のうと併用した方がいいですか?
商品によりますが、土のう・水のうを重しやすき間対策として併用するよう案内されている製品があります。 この記事で紹介しているABO-32903も、水のうや土のうとの併用が案内されています。 購入した製品の取扱説明書に従って設置してください。
Q. 止水板はいつ設置すればいいですか?
道路が冠水してからではなく、大雨や台風で浸水のおそれが高まる前に設置します。 外での作業が危険な状況では設置を続けず、避難や安全確保を優先してください。
まとめ|止水板は「水が来る前」に使う浸水対策
止水板は、玄関やシャッターなどからの雨水の流れ込みを軽減するための防災用品です。
選ぶときは、
- 設置場所の幅
- 止水できる高さ
- 必要な枚数
- 重さ
- 収納場所
をチェックしましょう。特に、必要な枚数を事前に計算しておくことが大切です。 台風シーズンの防災用品をまとめて見直したい方は、 「台風シーズンに備えたい防災グッズ」 も参考にしてください。
そして忘れてはいけないのが、止水板は避難の代わりにはならないということ。危険が迫ったときは作業を切り上げ、自治体の避難情報を確認して、身の安全を最優先にしてください。
参考情報
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