自社の工場もオフィスも無事。社員も出社できる。それなのに、仕入れ先から「被災して出荷できません」と連絡が入った。
原材料や部品、商品が届かなければ、自社が被災していなくても仕事は止まります。そこでBCPでは、自社の建物や社員だけでなく、「仕入れ先が止まったらどうする?」まで考えておくことが大切です。
まず確認したいのは、この5つ。
① 止まると困る仕入品は何か
② 1社だけに依存していないか
③ 代わりに調達できる先はあるか
④ 何日分の在庫を持つか
⑤ 物流が止まった場合も考えているか
サプライチェーンBCPって何?
サプライチェーンは、原材料や商品の調達から、生産、物流、販売までがつながる一連の流れです。BCPでは、自社だけが動けても、仕入先や物流会社が止まれば重要業務を続けられないことがあります。
中小企業庁のBCP指針でも、仕入先から原材料などの納品が止まった場合に備え、代替で生産・調達する手段を準備できているかが確認項目として示されています。
BCPの基本については、 BCPとは?事業継続計画の意味と策定手順を企業防災の視点で解説 も参考にしてください。
まず「止まると困る仕入品」を3つ挙げる
すべての仕入品に同じ対策をする必要はありません。最初に考えたいのは、届かなくなると重要な事業が止まるものです。
たとえば。
特定メーカーからしか買えない部品
製造に欠かせない原材料
店舗営業に必要な商品
業務に必須の消耗品
代替が難しい外注サービス
まず3つだけでも書き出し、「これが1週間来なかったらどうなる?」と考えると、自社の弱い部分が見えてきます。
1社だけから仕入れていない?
価格や品質、長年の取引を理由に、一つの仕入先へ集中しているケースは珍しくありません。ただ、その会社や地域が被災すると、一気に調達できなくなる可能性があります。
だからといって、すべての商品を必ず複数社から買う必要があるわけではありません。重要なのは、「ここが止まったら代わりはある?」を把握しておくことです。
確認してみる
今の仕入先が止まったら?
↓
別の会社から買える?
↓
同じ仕様の商品はある?
↓
切り替えるまで何日かかる?
中小企業庁が紹介するBCPの企業事例でも、平時から代替となる仕入先や外注先を検討する取り組みが紹介されています。
在庫を増やせば解決、でもない
「止まるなら在庫を多めに持てばいい」と考える方法もあります。ただし、在庫を増やせば保管場所や資金、使用期限など別の負担も増えます。
そこで、重要度や調達にかかる時間を見ながら、一定の在庫を持つもの・代替先を用意するもの・両方を組み合わせるものを分けて考えます。
大切なのは「全部多めに持つ」ではなく、止まったときの影響が大きいものから対策することです。
仕入先だけでなく「物流」も見る
商品は作れている。でも道路が寸断されて届かない。倉庫は無事でも配送会社が動けない。災害時には、仕入先そのものではなく物流が止まるケースもあります。
そのため、仕入先の所在地だけでなく、倉庫や配送ルートも含めて確認します。自社や主要拠点の災害リスクについては、 会社のハザードマップ、どこを見る?事業所の災害リスクを確認しよう も参考にしてください。
取引先と平時から話しておく
災害が起きてから初めて「代替品はありますか?」と聞いても、すぐ対応できるとは限りません。重要な仕入先とは、平時のうちに災害時の連絡先や供給継続の考え方を確認しておくと安心です。
- □ 災害時の連絡先を知っている?
- □ 相手の主要拠点がどこにあるか分かる?
- □ 供給できない場合の代替品はある?
- □ 別工場・別倉庫から供給できる?
- □ 自社側の代替仕入先も決めている?
自社だけで対応が難しい場合には、同じサプライチェーンに属する企業などと連携してBCPを考える方法も、中小企業庁の指針で示されています。
まず1商品だけ、止まった想定をしてみる
最初からすべての仕入先を分析しなくても大丈夫です。まず、自社で最も重要な商品やサービスを一つ選び、その仕入れが止まった場合を考えてみましょう。
30分で確認するなら
重要商品を1つ決める
↓
必要な仕入品を確認する
↓
仕入先を確認する
↓
止まった場合の代替先を考える
↓
何日で事業に影響するか確認する
この作業だけでも、「実は1社しか作れない部品だった」「在庫が2日分しかない」といったリスクが見えてきます。
まとめ|「自社が無事なら大丈夫」ではない
災害時に事業を止める原因は、自社の被害だけとは限りません。仕入先、外注先、倉庫、物流など、どこか一つが止まることで自社の仕事も止まる可能性があります。
考える順番はシンプルです。
何が止まると困る?
↓
どこから仕入れている?
↓
そこが止まったら?
↓
代わりはある?
↓
何日持ちこたえられる?
「仕入先が復旧するのを待つ」だけではなく、「止まっても次の手を打てる」状態を作っておく。 まずは一番重要な仕入品から確認してみてください。
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