年に一度、 全員で階段を降りる。
これで、 会社の防災訓練は終わり。
……になっていませんか?
もちろん、 避難経路を確認することは大切です。
でも実際の災害では、 そのあとにもやることがあります。
社員の安否は?
けが人がいたら?
電車が止まったら社員を帰す?
会社の仕事はどう続ける?
企業の防災訓練は「避難する練習」だけではありません。
災害が起きたあとに、 社員と会社がどう動くかを試すのが防災訓練です。
企業の防災訓練は何をする?
東京都は、 災害時に従業員が混乱せず組織的に行動できるよう、 日頃から実践的な防災訓練を行うことを勧めています。
ポイントは、
「知っている」を「できる」に変えること。
マニュアルに、
「地震発生後は社員の安否を確認する」
と書いてあっても、
誰が送る?
どこへ返信する?
回答がない人は誰が追う?
ここまで動けなければ、 本番では使えません。
小さな会社なら、 大掛かりな訓練をいきなりする必要はありません。
まずは、 次の5つから始めてみましょう。
① 地震発生から避難までを実際に動いてみる
まずは基本となる、 地震を想定した初動・避難訓練です。
「地震が発生しました」
というところから、 実際に動いてみます。
- □ 机の下などで身を守る
- □ 火災やけが人がいないか確認する
- □ 避難経路を確認する
- □ 非常口から安全な場所へ移動する
- □ 最後に人数を確認する
やってみると、 意外なことに気づきます。
非常口の前に荷物が置いてある。
階段の場所を知らない社員がいる。
避難場所を誰も覚えていない。
訓練の目的は、きれいに避難することではなく、問題を見つけること。
② 全社員で安否確認を送ってみる
次は、 安否確認訓練です。
社員へテストで連絡し、 実際に回答してもらいます。
たとえば回答する内容。
本人:無事/負傷
現在地:会社/自宅/外出先
家族:無事/未確認
出社:可能/困難/未定
見るべきなのは、 回答率だけではありません。
何分で届いたか。
通知に気づかなかった人はいないか。
回答していない社員を確認できるか。
担当者が休みでも集計できるか。
ここまで試します。
本番で初めて安否確認システムを使う。
これは避けたいところです。
③ 消火器・応急手当を「一度使ってみる」
会社に消火器はある。
AEDもある。
でも、
使ったことはありますか?
災害時には、 初期消火や応急救護が必要になる場合があります。
東京都も、 従業員が初期救出や応急手当を行えるよう、 日頃から教育や訓練を行うことを勧めています。
見るだけより、一度やってみる。
消火器の位置を確認する。
使い方を確認する。
AEDの場所を確認する。
応急手当の流れを確認する。
実際の消火器を無断で放射するのではなく、 訓練用消火器や消防署などが実施する訓練を活用すると取り組みやすくなります。
小さな会社なら、 全社員が一度に参加できなくてもOKです。
部署ごとに15〜30分ずつ実施する方法もあります。
④ 「社員を帰さない」訓練もしてみる
大地震。
電車が止まった。
社員から、
「家に帰っていいですか?」
と聞かれる。
ここで初めて考えるのでは遅いかもしれません。
大規模災害では、 帰宅困難者が一斉に移動すると、 道路や駅周辺の混乱につながる可能性があります。
そこで企業では、 社内に一定時間とどまるケースも想定して訓練しておきます。
- □ 社員が待機する場所を確認する
- □ 水・食料の保管場所を確認する
- □ 非常用トイレの使い方を確認する
- □ 毛布や充電手段の場所を確認する
- □ 家族との連絡方法を確認する
備蓄品も、 棚に入っているだけでは防災になりません。
どこにあるか。
誰が配るか。
どう使うか。
訓練で確認します。
企業の備蓄については、 オフィスの防災備蓄チェックリスト|総務担当者がまず確認すべき項目 でも詳しく紹介しています。
帰宅困難者対策については、 災害時の帰宅困難者対策|企業が準備すべきこと もあわせて確認してください。
⑤ 会議室でできる「BCP机上訓練」をやってみる
最後は、 小規模会社にもおすすめしたい BCPの机上訓練です。
これは、 実際に避難したり走ったりする訓練ではありません。
会議室で、
「こんな災害が起きたら、会社はどうする?」
を話し合います。
たとえばこんな想定。
月曜日の午前10時に震度6強。
オフィスは停電。
電車は運転見合わせ。
社員の3割と連絡が取れない。
主要な取引先から連絡が来た。
では、 どうする?
誰が災害対策の責任者になる?
社員の安否確認は誰がする?
顧客へ誰が連絡する?
今日中に絶対続ける仕事は何?
オフィスが使えなかったらどこで仕事をする?
こうした質問を、 経営者や管理職、担当者で順番に考えます。
BCPを作っただけでは分からなかった穴が見つかるのが、机上訓練です。
BCPについては、 BCPとは?事業継続計画の意味と策定手順を企業防災の視点で解説 で詳しく紹介しています。
小規模会社なら「30分の防災訓練」からでいい
「防災訓練をやろう」
と言うと、
全社員の予定を合わせて、 消防署にも相談して、 一日がかりで……
と考えてしまいがちです。
でも、 最初から全部やる必要はありません。
たとえば毎回30分。
4月:避難経路を歩く
6月:安否確認をテストする
9月:消火器・AEDを確認する
11月:備蓄品を実際に開けてみる
2月:BCP机上訓練をする
小さくても、 繰り返す。
その方が、 年に一度だけ大掛かりな訓練をして終わるより、 社内に防災を定着させやすくなります。
防災訓練は年に何回やればいい?
防災訓練の内容や必要な回数は、 建物の用途や消防計画などによって異なります。
防火管理者を選任している事業所では、 消防計画に基づいて消火・通報・避難訓練を実施します。
また、 飲食店や物販店、ホテルなど不特定多数の人が利用する 「特定用途の防火対象物」では、 消火訓練と避難訓練を年2回以上実施する必要があります。
一般的な事務所などについては、 消防計画に定めた内容に沿って実施します。
法令上必要な消防訓練と、企業独自の防災訓練は分けて考える。
自社に必要な訓練や届出については、 防火管理者や建物管理者、管轄の消防署にも確認しましょう。
一方で、 企業防災という意味では、 避難訓練だけでなく、 安否確認やBCP訓練などを定期的に行うことが大切です。
訓練が終わったら「反省会」を10分だけやる
防災訓練で一番もったいないのが、
「無事終わりました」で終わること。
訓練後に、 10分だけでも振り返ります。
- □ できなかったことは何か
- □ 分からなかったことは何か
- □ 足りなかった備蓄・設備は何か
- □ 誰の役割が曖昧だったか
- □ 次回までに何を改善するか
たとえば、
安否確認に30分以上かかった。
非常用トイレの場所を知らない人が多かった。
BCPの責任者が不在だと誰も判断できなかった。
こうした問題が見つかったら、 それは訓練が失敗したのではありません。
本番前に問題を見つけられた、 ということです。
まとめ|防災訓練は「避難する日」ではない
会社の防災訓練というと、
「みんなで外へ避難する日」
になりがちです。
でも、 本当に試したいのはその先です。
小規模会社なら、まずこの5つ。
① 地震・避難訓練
② 安否確認訓練
③ 初期消火・応急手当
④ 帰宅困難者・備蓄品訓練
⑤ BCP机上訓練
全部を一日でやる必要はありません。
30分でもいい。
一つずつ、 実際にやってみる。
「災害時はこうする」を、社員が実際に動ける状態にしておく。
それが、 企業の防災訓練です。
Bousailyでは、企業・施設・団体などの防災備蓄や、防災用品の選定についてご相談いただけます。
「何を備えればいいか分からない」「必要な数量を整理したい」「備蓄品をまとめて検討したい」といった段階からでもお気軽にご相談ください。
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