水もある。
非常食もある。
非常用トイレも備えた。
でも、 オフィスを見渡してみると、
背の高いキャビネットがデスクのすぐ後ろ。
大きな複合機はキャスター付きのまま。
これでは、 せっかく備蓄していても、 地震が起きた瞬間にけがをする可能性があります。
オフィスの地震対策は「家具を固定する」だけではありません。
まずレイアウトを見直す。
↓
家具を固定する。
↓
収納物の落下も防ぐ。
この順番で考えるのがポイントです。
オフィス家具の地震対策、まず何を見る?
東京消防庁では、 地震時のオフィス家具について、 転倒・落下だけでなく「移動」への対策も重要としています。
特に高層階では、 長周期地震動によって、 キャスター付きの家具や複合機などが大きく移動する可能性があります。
まず、 オフィスをこの視点で見てみましょう。
- □ 背の高い棚やキャビネットが固定されている
- □ 出入口の近くに倒れそうな家具がない
- □ 避難通路を家具が塞がない配置になっている
- □ キャスター付き家具の移動対策をしている
- □ 複合機・コピー機の移動対策をしている
- □ 棚の上に重い物を置いていない
一つでも気になるところがあれば、 そこから見直します。
① まず「倒れても危なくないレイアウト」にする
家具を固定する前に、 見直したいのが置き場所です。
どれだけしっかり固定していても、 固定器具が外れる可能性はゼロではありません。
だから、
「もし倒れたら、どこへ倒れる?」
まで考えます。
避けたい配置。
社員のすぐ後ろに背の高いキャビネット。
出入口の横に大型書庫。
避難通路沿いにキャスター付きの収納家具。
オフィス中央に背の高い棚。
東京消防庁は、 メインとなる避難通路を直線状に確保し、 幅1.2m以上を確保することを案内しています。
また、 出入口や避難通路の周辺には、 転倒・移動しやすい家具を置かないようにします。
固定できるから置いていい、 ではありません。
まず危険な場所に置かない。
そのうえで固定します。
② 棚・キャビネット・書庫は「壁や床へ固定」
オフィスで特に注意したいのが、 背の高いキャビネットや書庫です。
書類が入ると、 かなりの重量になります。
それが倒れれば、 人を直撃するだけでなく、 避難経路を塞ぐ可能性もあります。
基本は、家具同士を連結し、壁や床へ適切に固定。
ただ置いているだけ。
壁に寄せているだけ。
これでは地震対策にはなりません。
連結できるキャビネットは、 上下・左右を連結します。
さらに、 家具の仕様や建物の構造に合わせて、 壁や床へ固定します。
「壁ならどこでもネジ止め」はNG
ここは、 オフィスなら特に注意したいところです。
石膏ボードや間仕切り壁など、 十分な固定力が期待できない壁もあります。
JOIFA(日本オフィス家具協会)では、 固定方法は床や壁の材質・工法によって性能が大きく変わるため、 専門家へ相談するよう案内しています。
また、 オフィスではフリーアクセスフロアになっていることもあります。
見えている床材へ金具を付けるだけではなく、 床スラブなど建物側の構造を踏まえた施工が必要になる場合があります。
会社での家具固定は、DIY感覚で決めない。
家具メーカー、施工会社、ビル管理会社などへ確認し、 建物と家具に合った固定方法を選びます。
③ 棚の中身も地震対策する
キャビネットを固定した。
これで安心。
……ではありません。
地震では、 棚の中身が飛び出すこともあります。
ファイル。
備品。
工具。
重い書類。
上段から落ちれば危険です。
- □ 重い物は下段へ入れる
- □ 軽い物を上段へ入れる
- □ 扉が開かないラッチ付き家具を使う
- □ オープン棚は収納物の落下防止をする
- □ ガラス扉には飛散防止対策を検討する
ポイントは、 家具そのものと、中身をセットで考えること。
書庫が倒れなくても、 大量のファイルが飛び出せば、 けがや避難障害につながります。
④ 複合機・コピー機は「動くもの」と考える
意外と見落とされやすいのが、 複合機・コピー機です。
大きくて重いので、
「こんなもの動かないでしょ」
と思ってしまいます。
でも、 キャスターが付いている機器は、 強い揺れで移動する可能性があります。
東京消防庁の資料では、 一般的な複合機は使用時重量が150kg程度になることもあり、 移動すると危険なため、 転倒・移動防止対策が重要とされています。
複合機の対策例。
キャスターをロックする。
アジャスターを使用する。
必要に応じてベルトなどで壁面へ連結する。
ただし、 複合機によって構造や固定方法は異なります。
自己流でベルトを付ければOK、ではありません。
取扱説明書を確認するか、 メーカー・保守会社へ適切な固定方法を確認します。
⑤ デスクまわりも「落ちる・飛ぶ」をチェック
大型家具だけではありません。
社員が長時間いるデスクまわりも確認します。
モニター。
パソコン。
卓上のOA機器。
棚の上の荷物。
地震では、 こうした物も落下・移動します。
デスクまわりを見るポイント。
モニターやOA機器が落下しないか。
頭上に重い物がないか。
引き出しが飛び出して避難を妨げないか。
机の下に身を守るスペースがあるか。
机の下が、 段ボールや荷物でいっぱい。
これも、 意外と多いオフィスです。
地震時に身を守れるよう、 デスク下にも余裕を残しておくと安心です。
オフィスの中央に「背の高い家具」はなるべく置かない
書庫やキャビネットを、 間仕切り代わりに使っているオフィスもあります。
でも、 オフィス中央の背の高い家具は、 倒れたときに社員へ直撃したり、 通路を塞いだりする可能性があります。
東京消防庁やJOIFAも、 デスクまわりやオフィス中央には背の高い家具を置かない よう案内しています。
できるだけ、
低い家具にする。
人がいる場所から離す。
壁側へ配置する。
そして、 適切に固定する。
レイアウト自体を防災設備の一つとして考える。
これが大切です。
「固定済み」でも定期的に確認する
数年前に固定工事をした。
だから安心。
とも限りません。
レイアウト変更。
オフィス移転。
家具の入れ替え。
床工事。
こうしたタイミングで、 固定が外されたままになることがあります。
- □ 固定金具に緩みがない
- □ 家具を移動したあと再固定している
- □ キャスターのロックが機能している
- □ 避難通路に新しい家具を置いていない
- □ 棚の上に荷物が増えていない
おすすめは、 防災訓練や備蓄品点検と一緒に確認すること。
年に一度だけでも、 オフィスを歩いてチェックすると、 レイアウトの変化に気づきやすくなります。
家具固定はBCPの「その前」にある
BCPというと、
「災害後にどう仕事を続けるか」
を考えるイメージがあります。
でも、 社員が家具の転倒で負傷したり、 避難経路が塞がれたりすれば、 その先の事業継続どころではありません。
まず、人が無事であること。
そのうえで、 会社の業務をどう続けるかを考える。
オフィス家具の転倒・落下・移動防止は、 企業防災のかなり基本的な部分です。
BCPについては、 BCPとは?事業継続計画の意味と策定手順を企業防災の視点で解説 でも詳しく紹介しています。
水・食料・非常用トイレなども含めて、 オフィス全体を確認するなら、 オフィスの防災備蓄チェックリスト|総務担当者がまず確認すべき項目 もあわせてチェックしてみてください。
まずオフィスを5分歩いてみる
地震対策というと、 大掛かりな工事を想像するかもしれません。
でも最初にやることは、 もっと簡単です。
オフィスを5分歩いてみる。
この棚が倒れたら?
この複合機が動いたら?
このキャビネットの扉が開いたら?
この通路が塞がれたら?
そんな目線で見るだけでも、 危ない場所は見えてきます。
そこで見つけた問題を、
レイアウトで直す。
固定で直す。
収納で直す。
できるところから一つずつ改善していけばOKです。
まとめ|家具は「倒れない」だけでなく「動かない」対策を
オフィスの地震対策では、 家具が倒れることだけを考えがちです。
でも実際には、
倒れる。
物が落ちる。
家具そのものが移動する。
この3つを考える必要があります。
まず、この順番で見直しましょう。
① 危険なレイアウトを変える
② 棚・キャビネットを固定する
③ 重い物を下へ収納する
④ 複合機・キャスター家具の移動を防ぐ
⑤ 定期的に固定状態をチェックする
防災用品を買うことも大切です。
でも、 その前にできることがあります。
今あるオフィスを、地震が起きても人がけがをしにくい空間にする。
まずは、 デスクの後ろにある棚から確認してみてください。
Bousailyでは、企業・施設・団体などの防災備蓄や、防災用品の選定についてご相談いただけます。
「何を備えればいいか分からない」「必要な数量を整理したい」「備蓄品をまとめて検討したい」といった段階からでもお気軽にご相談ください。
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