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企業の非常食、アレルギー対応はどうする?社員向け備蓄の考え方

食物アレルギーがある社員に対応する非常食を確認し企業の防災備蓄を準備する担当者のイメージ

非常食は社員数×3日分。数量は足りている。 でも、その非常食を社員全員が食べられるとは限りません。

小麦、卵、乳、ナッツ類などに食物アレルギーがある社員にとって、食べられない非常食しかない状態は「備蓄がない」のとほぼ同じです。

会社で考えたいのは、この5つ。

① 配慮が必要な社員がいるか確認する
② 原材料・アレルギー表示を確認して選ぶ
③ 通常食と分けて保管する
④ 誰でも勝手に配らない
⑤ 商品変更・賞味期限更新時に表示も再確認する

「非常食が9食ある」だけでは足りない

企業の帰宅困難者対策では、事業所の主食は1人1日3食、3日で9食が目安とされています。 ただし、9食あっても本人が食べられなければ意味がありません。

そのため備蓄量を確認するときは、「何食ある?」と「誰が食べられる?」をセットで見る必要があります。

企業の基本的な必要量については、 企業の防災備蓄は何日分必要?従業員数別の計算方法 も参考にしてください。

まず知っておきたい「特定原材料」

容器包装された加工食品では、食物アレルギーによる健康被害を防ぐため、特定の原材料について表示ルールが定められています。

2026年10月時点で、表示が義務付けられている特定原材料は9品目です。

表示義務のある特定原材料9品目

えび
カシューナッツ
かに
くるみ
小麦
そば
卵
乳
落花生(ピーナッツ)

このほかにも、表示が推奨されている品目があります。また、アレルギーの原因となる食品はこの一覧だけとは限りません。

そのため会社側が「9品目不使用なら全員大丈夫」と判断するのは避けましょう。

会社は「全員同じ非常食」にこだわらなくていい

社員全員分を同じ商品だけでそろえると、管理はラクです。でも、食物アレルギーがある社員がいる場合、その方法では対応できないことがあります。

そこで、通常の非常食とは別に、アレルギーなどへ配慮した備蓄枠を設ける方法があります。

たとえば100人の会社なら。

通常の非常食
+
個別に配慮が必要な社員向けの非常食
+
予備として一定数の対応食品

東京都が公開している企業事例でも、一般的な非常食とは別にアレルギー対応食品を用意し、多様な社員へ配慮する取り組みが紹介されています。

大切なのは、具体的な人数や必要な食品を把握したうえで、自社に必要な数量を考えることです。

商品は「アレルギー対応」の文字だけで選ばない

非常食を購入するときは、パッケージやメーカー情報で原材料・アレルギー表示を確認します。

  • □ 原材料表示を確認する
  • □ アレルギー表示を確認する
  • □ 本人が避ける必要のある食品を確認する
  • □ 製造時の注意表示なども確認する
  • □ 商品変更時に表示をもう一度確認する

特に注意したいのが、以前購入した商品と同じ商品名だから大丈夫と思い込むことです。

原材料や製造方法、表示制度が変わる可能性があります。備蓄を入れ替えるときは、前回購入時の情報をそのまま使わず、現在の商品表示を確認しましょう。

社員への確認は「必要なことだけ」

アレルギー対応備蓄を用意するには、どんな配慮が必要なのか把握する必要があります。 一方で、食物アレルギーは社員の健康に関する情報です。

そのため、社内で確認するときは、会社の個人情報・健康情報の取扱ルールに沿い、防災備蓄のために必要な範囲で扱うことが大切です。

たとえば確認したいこと。

災害時の食事で配慮が必要か
避ける必要がある食品は何か
会社備蓄で対応が必要か
本人が個人備蓄を用意するか

社員全員が見られる名簿に「○○さんは卵アレルギー」のように掲載する必要はありません。 必要な担当者が、必要な範囲で把握できる仕組みにしましょう。

対応食は「分けて保管・分けて配る」

せっかく対応食品を用意しても、通常食と混ざってしまえば災害時に探すのが大変です。

備蓄倉庫では、アレルギー等の配慮食を分かりやすく区分しておきます。

保管の例。

「配慮食」専用ケースを作る
商品名・賞味期限を一覧化する
対応する原材料情報をすぐ確認できるようにする
通常の非常食と混ざらない場所へ置く
配布担当者が場所を把握する

また、災害時に「非常食はこちら。好きなものを取ってください」と自由配布すると、必要な対応食が先になくなる可能性もあります。

食物アレルギー対応食は、対象者と残数を確認しながら配布できるルールにしておくと安心です。

本人の備蓄だけに任せない。ただし個人備蓄も役立つ

「アレルギーがある人は、自分で食べられる物を持ってきてください」だけで終わらせるのも考えものです。

企業が社員を事業所内に待機させる前提なら、会社の備蓄についても配慮を検討しておきたいところです。

一方、食物アレルギーは人によって内容が異なるため、会社側だけですべてのケースをカバーするのが難しい場合もあります。

「会社備蓄+個人備蓄」で考える。

会社:一定量の対応食品を用意する
社員:本人が普段食べ慣れている食品も備える

農林水産省は家庭向け情報として、食物アレルギーなど食事に配慮が必要な人は、災害時に対応食品を入手しにくくなることから、より多めの食品を備えることを紹介しています。

これは企業の備蓄日数を定める基準ではありませんが、災害後にアレルギー対応食品をすぐ調達できるとは限らないことは、会社側も想定しておきたいポイントです。

防災訓練で「実際に配れるか」まで確認する

対応食を買って倉庫に入れたら終わりではありません。 防災訓練のときに、一度運用を確認してみましょう。

  • □ 対応食の場所を担当者が知っているか
  • □ 原材料表示をすぐ確認できるか
  • □ 通常食と間違えて配らない仕組みになっているか
  • □ 賞味期限が切れていないか
  • □ 担当者不在でも対応できるか

災害時は、停電や通信障害でいつものデータが見られない可能性もあります。 商品情報や備蓄一覧を紙でも確認できるようにしておくと、運用しやすくなります。

アレルギー対応もBCPの一部として考える

食物アレルギーへの対応は、福利厚生だけの話ではありません。 社員が安全に事業所へ待機できる環境をつくることは、企業の災害対応にも関わります。

非常食、水、トイレ、安否確認などと同じように、「配慮が必要な社員がいる場合どうするか」を防災マニュアルやBCPの中へ組み込んでおきましょう。

会社全体の備蓄を見直すなら、 オフィスの防災備蓄チェックリスト|総務担当者がまず確認すべき項目 もあわせて確認してください。

BCPの基本については、 BCPとは?事業継続計画の意味と策定手順を企業防災の視点で解説 で詳しく紹介しています。

まとめ|「食数」ではなく「食べられる食数」を備える

企業の非常食で大切なのは、倉庫に何食あるかだけではありません。 災害時に、それぞれの社員が実際に食べられるかまで考えて初めて、使える備蓄になります。

会社で確認したい5つ。

① 配慮が必要な社員がいるか確認する
② 原材料・アレルギー表示を確認する
③ 対応食を通常食と分けて管理する
④ 配布担当・配布方法を決める
⑤ 入れ替え時に商品表示を再確認する

まずは現在の非常食を見て、「この備蓄、本当に社員全員が食べられる?」と確認してみてください。 そこから必要な対応食と運用ルールを整理していきましょう。

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