地震、大雨、大雪。災害は家にいるときに起きるとは限りません。通勤中や買い物先で道路が通れなくなり、数時間を車の中で過ごすこともあります。
だからといって、自宅の防災リュックと同じものを全部積む必要はありません。車載防災では、「車から脱出する」「道路上で安全を確保する」「車内でしばらく待つ」の3つから考えると、最低限必要なものが見えてきます。
まず車に備えたい8つ
① 緊急脱出用ハンマー
② 停止表示器材
③ 携帯トイレ
④ 飲料水
⑤ 少量の非常食
⑥ 毛布・防寒用品
⑦ ライト
⑧ 軍手・レインウェア
車載防災は「家の備蓄」と役割が違う
自宅では、水や非常食を数日分備えて生活を続けることを考えます。一方、車は収納スペースが限られ、真夏には車内が高温になるため、家と同じ備蓄をそのまま積むのは現実的ではありません。
まず優先したいのは、事故や水没から脱出するためのもの、道路上で二次事故を防ぐもの、そして渋滞や立ち往生で数時間動けなくなったときに困るものです。
最優先①|水没したときの緊急脱出用ハンマー
大雨による道路冠水や河川への転落などで車が水没すると、水圧によってドアが開きにくくなることがあります。電気系統が浸水すると、パワーウインドウが動かなくなる可能性もあります。
そんなときに備えて用意しておきたいのが、窓ガラスを割るための緊急脱出用ハンマーです。シートベルトが外れなくなった場合に備えて、ベルトカッターが一体になったタイプもあります。
ハンマーはトランクに入れない。
水没してからトランクへ取りに行くことはできません。運転席に座った状態で、シートベルトをしたままでも手が届く位置へ固定しておきましょう。
おすすめ①|水没・事故時の脱出に
BAL 大橋産業 ブレイクハンマー No.636
窓ガラスを割るハンマーと、シートベルトを切断するカッターを一体化した緊急脱出用品。JIS規格適合品で、専用ホルダーも付属しています。水没や事故でドアから脱出できない事態に備え、運転席からすぐ手が届く場所へ設置しておきたいアイテムです。
※フロントガラスや一部車種の合わせガラスは、緊急脱出用ハンマーで割れない場合があります。自分の車で脱出に使える窓を取扱説明書などで確認しておきましょう。
冠水時は、そもそも水の深い道路へ進入しないことが最優先です。車の冠水対策や避難判断については、 車が冠水する前にどこへ逃がす?大雨時の駐車場所と避難判断 もあわせて確認してください。
最優先②|高速道路では停止表示器材を用意する
高速道路や自動車専用道路で故障・事故によって停車した場合は、後続車へ停止車両の存在を知らせる必要があります。停止表示器材を設置したあとは、車内に残らず、ガードレールの外など安全な場所へ避難することが基本です。
定番は三角表示板ですが、道路交通法施行規則の基準に適合した停止表示灯もあります。コンパクトなので収納場所を取りにくく、車内からルーフへ設置できるタイプなら道路上へ出るリスクも減らせます。
おすすめ②|コンパクトに備えられる停止表示灯
エーモン PURPLE SAVER 6920
高速道路での緊急停車時に、三角表示板の代わりとして使用できる道路交通法施行規則適合の停止表示灯。底面にマグネットがあり、車のルーフなどへ設置できます。コンパクトなので運転席周辺へ収納しやすく、故障や事故の際にすぐ取り出せます。
※車に積んでいるだけでは停止表示になりません。緊急停車した場合は製品の使用方法に従って実際に設置し、乾電池の残量も定期的に確認してください。
最優先③|渋滞や立ち往生で困るのはトイレ
災害による通行止めや大雪で車列が動かなくなると、意外と早く困るのがトイレです。サービスエリアやコンビニが近くにあるとは限らず、道路状況によっては数時間移動できないこともあります。
車載用なら、自宅用の大きな非常用トイレセットとは別に、コンパクトな携帯トイレを数回分入れておくと便利です。運転者だけでなく、普段一緒に車へ乗る家族の人数も考えて用意しましょう。
おすすめ③|グローブボックスにも入る携帯トイレ
ケンユー 携帯ミニトイレ プルプル 2個入
渋滞や災害時など、すぐトイレへ行けない場面で使える携帯ミニトイレ。小さく収納できるため、グローブボックスやシートポケットへ入れておく車載備蓄と相性のいいアイテムです。普段家族で乗る車なら、2個入りを複数用意しておくと安心です。
※実際に使うときに戸惑わないよう、事前に使用方法を確認しておきましょう。家族で乗る車なら、2個だけでなく複数回分を備えておくと安心です。
自宅用の非常用トイレについては、 非常用トイレは何回分必要?家族人数別の備蓄量 も参考にしてください。
一つずつ選ぶのが大変なら「車載用防災セット」もあり
ここまで見て「必要なのは分かったけれど、全部一つずつ選ぶのは大変」と感じる人もいるでしょう。そんな場合は、車載用としてまとめられた防災セットを最初のベースにする方法もあります。
水や食料、簡易トイレ、脱出用品などを一度に揃えたうえで、自分の車や普段走る場所に合わせて不足しているものだけ追加すれば、ゼロから準備するより始めやすくなります。
おすすめ④|まず一式揃えたい人に
岸田産業 防災セット 車載用 一人用 17点セット
車に置いておきたい防災用品をまとめた一人用の車載防災セット。非常食や水、簡易トイレ、脱出用ハンマーなどをまとめて備えられるため、「まだ車に何も準備していない」という人が車載備蓄を始めるきっかけとして使いやすいセットです。
※セット内容は販売時期や販売店によって変更される場合があります。購入前に内容物を確認し、自分の車や家族構成に足りないものは追加してください。食品や飲料は保存条件・賞味期限も定期的に確認しましょう。
防災セットは「買ったら完成」ではない
車載用セットは準備を始めるには便利ですが、セットに入っているものだけですべての状況へ対応できるわけではありません。高速道路をよく走るなら停止表示器材、雪道へ行くならチェーンやスコップなど、利用環境に合わせた追加が必要です。
また、セットの中に脱出ハンマーが入っていても、バッグごとトランクへしまってしまえば水没時に取り出せません。セットを買ったら中身を一度全部出し、「何をどこへ置くか」まで決めることが大切です。
防災セットは「完成品」ではなく「スタートセット」。
まず必要なものをまとめて揃え、そのあと自分の車・移動範囲・季節に合わせて追加していきましょう。
水と食料は「積みっぱなし」に注意
渋滞や立ち往生に備えて、飲料水と食料も少量あると安心です。ただし、車は家庭の収納庫とは環境が大きく違います。特に夏は車内温度が高くなるため、飲料や食品は必ず製品表示の保存条件を確認してください。
水なら500mlペットボトルを数本、食料なら開封してすぐ食べられるものなど、「車で何日も生活する量」ではなく、帰宅や避難までをつなぐ量から考えれば十分です。セット商品に入っている食品・水についても、賞味期限だけでなく保存条件を確認しましょう。
毛布・レインウェア・軍手もあると便利
車内で長時間待つ可能性があるなら、毛布やアルミブランケット、防寒着が役立ちます。特に冬の立ち往生では、エンジンと暖房だけに頼らず体温を保てる装備を用意しておくことが大切です。
さらに、レインウェア、軍手、タオル、ライトなども車に置きやすい防災用品です。雨の中で車外へ移動したり、雪や落下物へ対応したりする場面でも使えます。
冬に雪道を走るなら追加したいもの
雪の多い地域へ行く場合は、通常の車載備蓄だけでは足りません。タイヤチェーンやスコップ、防寒着など、雪道特有の装備を追加します。
- □ タイヤチェーン
- □ スコップ
- □ 防寒着・毛布
- □ 長靴・防水手袋
- □ 携帯トイレ
- □ 水・食料
- □ けん引ロープ
雪で車の周囲が埋まった状態でエンジンをかけ続けると、排気ガスが車内へ入り込む危険があります。マフラー周辺を除雪するとともに、できるだけエンジンだけに頼らず寒さをしのげる装備も準備しておきましょう。
モバイルバッテリーは車に置きっぱなしにしない
車載防災グッズで注意したいのが、モバイルバッテリーやポータブル電源です。災害時には便利ですが、リチウムイオン電池を使った製品は高温に弱いため、真夏の車内へ長期間放置する使い方は避けましょう。
スマートフォン用のモバイルバッテリーは普段のバッグで持ち歩くなど、「車載備蓄=すべて車へ積みっぱなし」ではありません。 防災用品ごとに適した保管場所を考えることも必要です。
車に置くものと、持ち歩くものを分ける。
防災用品でも、保管温度や使用環境によって車内保管に向かないものがあります。製品の表示や取扱説明書を確認しましょう。
ライター・スプレー缶なども放置しない
夏の車内では、ライターやスプレー缶など高温に弱い製品にも注意が必要です。防災グッズを選ぶときは、「災害時に使えるか」だけではなく、「一年を通して車内に置いておけるか」も確認してください。
どこに積むかも防災の一部
防災用品を全部トランクへまとめると、緊急時に取り出せないことがあります。特に脱出ハンマーや停止表示灯、携帯トイレなどは、車内からすぐ手に取れる場所へ置いておきましょう。
| 置く場所 | おすすめのもの |
|---|---|
| 運転席から手が届く場所 | 脱出ハンマー・停止表示灯 |
| グローブボックス・シートポケット | 携帯トイレ・ライト・軍手 |
| トランク | 毛布・レインウェア・水・季節用品・防災セット |
| 普段持ち歩く | スマートフォン・モバイルバッテリー |
最低限なら、まずこの8つを確認
- □ 脱出ハンマーが運転席から届く位置にある
- □ 高速道路用の停止表示器材がある
- □ 携帯トイレを複数回分用意している
- □ 少量の飲料水がある
- □ すぐ食べられる食品がある
- □ 毛布・防寒用品がある
- □ ライト・軍手・レインウェアがある
- □ 夏と冬で車載品を見直している
家庭用の防災リュックをすでに準備している場合でも、車には車ならではの備えが必要です。防災リュック全体を見直したい場合は、 防災リュックに最低限入れたいもの も参考にしてください。
まとめ|「何を積む?」より「車で何が起きる?」
車載用の防災グッズは、たくさん積めば安心というものではありません。まず考えたいのは、水没して出られない、高速道路で動けない、渋滞でトイレへ行けないといった車だからこそ起こる困りごとです。
最低限の車載防災
脱出できる
→ 緊急脱出用ハンマー
後続車に知らせる
→ 停止表示器材
動けなくても待てる
→ 携帯トイレ・水・食料・防寒用品
一から選ぶのが大変なら
→ 車載用防災セットから始める
「防災グッズを何個積んでいる?」ではなく、「この車で閉じ込められたり、動けなくなったら何が必要?」。 まずは運転席から手の届く場所に脱出ハンマーがあるか、その次に車内で数時間過ごせる備えがあるかを確認してみてください。
参考情報
- JAF|自動車が水没したときの対処と脱出方法
- JAF|高速道路で事故や故障が発生した場合の対処
- JAF|真夏の車内温度
- JAF|雪道を走る前に準備しておきたいもの
- 国土交通省|大雪時の道路利用者への備え
- NITE|リチウムイオン電池搭載製品の高温下での事故防止
- 大橋産業|BAL ブレイクハンマー No.636
- エーモン|PURPLE SAVER 6920
- ケンユー|携帯ミニトイレ プルプル
- 岸田産業|車載用防災セット
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